メニュートレンド:粉料理の本場・大阪の珍メニュー、たこ焼きラーメン 「たこてつ」
「スープたこ焼き麺入り」は、簡単にいえば“たこ焼きの入ったラーメン”。いかにもたこ焼きの本場・大阪にありそうなメニューだが、実際には「たこてつ」(大阪市都島区)以外ではめったにお目にかかれない珍しい存在だ。1日限定50食を口にしようと、週末には遠方からも数多くのお客を集めている「スープたこ焼き麺入り」。その人気の理由はどこにあるのだろうか。
2004年のオープン当初から、「ラーメン」と「たこ焼き」を1つの店舗で展開している「たこてつ」。残った「たこ焼き」をラーメンのスープに入れて賄いにしていたところ、「それええやん、僕らにもちょうだい」とお客に言われ、店でも出すようになった。すると今度は、食べ盛りの高校生から「麺も入れて」というリクエストが……。こうしてオープンから半年後、「たこてつ」名物の「スープたこ焼き麺入り」が誕生した。
「たこてつ」のラーメンの一番の売りは、コクがあるのにくどくない、シンプルなのに深みのあるスープにある。材料は、大量の国産鶏がらと水だけで、弱火でコトコト6~7時間煮出した濃厚ながらスープが自慢だ。「店を開くと決めたときから、スープには植物性の材料を一切使わないと決めていた」という店主。理由は、長く繁盛しているラーメン店のスープを食べ比べていく中で、「そのほうが絶対においしいという確信を持った」からだ。また野菜を加えると、そのときどきの野菜の味の違いが、スープの味に微妙に影響する。その点も避けたかったという。
「たこてつ」では、このこだわりのスープを「たこ焼き」にも使用している。小麦粉を溶く際の水分はスープだけで、水は1滴も加えない。この“スープ使い”こそが、「ラーメン」と「たこ焼き」というそれぞれに個性的な2つの料理をケンカさせることなく調和させるポイントなのだ。しかも「たこ焼き」には、1日寝かすことで油が溜まるスープの上層部を使用。いろいろ試していくうちに、鶏がらから出た油を多めに入れることで、中はフワフワのまま外がパリッとした、つまりはスープに浸してもふやけにくい「たこ焼き」に仕上がることがわかったそうだ。
1日限定50食の「スープたこ焼き麺入り」は、夜11時ぐらいには完売することがほとんど。新たな出店やチェーン化の誘いもあるそうだが、「どんなに教え込んでも、詳細なマニュアルを作成しても、作る人が変わればスープの味は変わるもの。今は店舗数を増やすことより、自慢のスープの味を大切にすることで、お客さまに喜んでもらいたい」とのことだ。
◆店舗概要
「たこてつ」/店舗所在地=大阪市都島区中野町3-5-13、電話06・6353・1717/開業=2004年/営業時間=午後6時~12時ごろ(たこ焼きは9時ごろまで)、水定休/坪数・席数=6坪、店内6席・屋外約12席/1日平均客数=40~50組(たこ焼きの持ち帰り客は除く)/スタッフ=2人