電化厨房特集:大手外食チェーンの最新電化厨房=デニーズ検見川店
デニーズでの電化厨房第1号店は、2002年に出店した千葉富士見店であり、その後、順次導入を進めて現在では80店になる。昨年千葉にオープンした検見川店は、電化厨房にとどまらず、さまざまな省エネ、CO2削減対策を施したエコトライアル店舗として注目されている。
温対法・省エネ法改正に関して、(株)セブン&アイ・フードシステムズ企画室総括マネジャーの山瀬輝子氏は、「省エネやCO2削減という取り組みの中で、調理に関していえば、ガスか電気かという点においては一番適したものを使っていかなければなりません。しかし、大前提として調理には欠かせない『火力』があり、味を落とさぬよう、その兼ね合いの中でどういう形で展開していくかが重要」とする。
電化厨房を導入する場合でも、当然のことながら、全店が一つの同じパターンに当てはまるわけではなく、「個店ベースでの最適化を考えなければならない」と山瀬氏。最大の課題となるのが店舗のレイアウトの違いによるバックスペースの広さ。厨房が現在よりも小さいサイズで作られている古いタイプの店舗では、単なるリニューアルで厨房を広げることは難しい。そのため、「一定のスペースの中で、どうやって効率よく機器を納めていくか、1店舗ずつ精査していかなければならない」(店舗開発部の広瀬誠氏)。
このように、丁寧に電化厨房導入を進める中で、昨年、郊外型店舗である検見川店が省エネ、エコのモデル店としてリニューアルオープンをした。電化厨房をはじめ可能な限りのエコ対策を取り入れたトライアル店舗であり、年間のCO2排出量を約22万tから約13万tへと、約40%の削減効果を見込んでのスタートだ。
だがオープン後、想定以上に来客数が増加したため、電力使用量の総量も増加。「うれしい誤算ではあるが、売上げに対する水道光熱費の割合は確実に減少し、削減数値も目標値に限りなく近い状態」(山瀬氏)
今回、導入した主な機器は、フライヤー、ゆで麺器、グリドル、チャーブロイラー、IH調理器などで、厨房内だけでも約12%のCO2排出削減を見込む。
「まずは1年間通してデータを取り、それを検証していく。それを参考に、最適な形、タイミングでの導入を検討していきたい」(広瀬氏)
◆現場のコメント:デニーズ検見川店・橋本博考店長
電化厨房機器は掃除がしやすい点が、衛生面で非常にプラスと感じています。掃除しづらいと時間がかかるのでつい後回しになりがちですが、例えば「調理したあとにはすぐにふく」といった、必ずすべきことを、きちんと手順通りにできるようになりました。
また、店内調理が多いので、以前のガス厨房では室温が上昇しやすかったのですが、今は厨房内の空調の効きがよく、過ごしやすくなりました。
電化厨房機器は一定のレベルで確実な料理ができますので、標準化を追求する料理のための器具としても、よいものの一つだと思います。
◆店舗メモ
●「デニーズ 検見川店」/所在地=千葉県千葉市花見川区幕張町3-7725
●(株)セブン&アイ・フードシステムズ/本社所在地=東京都千代田区二番町8-8/事業内容=「デニーズ」「ファミール」などレストラン事業595店舗、ファストフード事業140店舗、その他
◆使用機器紹介:ニチワ電機(株)「チャーブロイラーTEG-450C-CSP」
調理面積が広く、大量調理ができる。また、熱効率がよくグリドル全体で調理でき、特殊な表面処理によって放射熱が少なく、温度むらを少なくすることが可能となった。温度管理の操作も簡単だ。外形寸法:450×850×325mm。消費電力=3相200V×4800W
◆CO2削減への取り組み
[省エネタイプの空調システムと雨水再利用散水]
従来から採用している省エネタイプのマルチエアコンに加え、自動清掃機能付きタイプもテスト導入。また、雨水を貯めて除菌ろ過し、空調室外機への噴霧や屋根に散水などで夏場の空調負荷を低減。
[太陽光発電システム]
屋根上に設置したソーラーパネルによって発電した電気を店内照明に利用(蓄電設備がないため、不足分は東京電力の電気を使用)。外灯とインサインは太陽光発電装置一体型(蓄電設備付き)のため、夜間でも利用可能。
その他、LED照明、エコキュート、節水トイレ、客席の窓にペアガラス採用(空調の負荷軽減)など。