メニュートレンド:ガツンとくる魚だし「かけラーメン」 「烈志笑魚油麺香房 三く」
ラーメン激戦区、大阪の福島に開店して1年未満ながら、日々評判を高めているのが、「烈志笑魚油(れっししょうゆ)麺香房 三く」。開店前には、毎日行列ができるという、人気店に成長している。独自の味を創出する、そのパワーを取材した。
◆和の経験生かしオリジナルを追求
「三く」は、大阪では少数派の醤油ラーメンの店。店主の山本昌司さんは、本家さぬきやで、うどん・そばや和食の経験を積み、独立。新たな挑戦として、“ラーメン”という未知の世界に飛び込んだという。
味のベースは、“ド魚系だし”。国産煮干しや魚節から丁寧にだしを抽出し、こだわりの古正油(しょうゆ)と合わせるスープは、一口めからだしの風味がガツンとくる。一番人気の「かけラーメン」(780円)には、実際に店でだし用に使用している背黒煮干しを、具材として調味してトッピング。ユニークなスタイルとともに、素材への自信が感じられる一杯である。
さらに、つけ麺も同店の人気メニュー。なかでも、「つけ麺全粒粉」(800円)は、全粒粉を配合した、超極太麺がポイントだ。うどんのような、驚きの太さと弾力で、ゆで時間は15分。麺には、麦芽を焙煎した粉を振りかけて、香ばしい風味をさらにアップさせている。
つけだれは、白湯スープと魚介スープのWスープ。梅肉やボイルしたレンコンスライスなどが入っており、食べ進むうちに味の変化が楽しめる。また、山芋のとろろ入りのため、麺にもからみやすく、個性的な麺に負けない、パワフルなつけだれに仕上がっている。夜には、同額で絞め飯が付き、おじや風にしても楽しめる。
メニューは、650円から980円まで6種類。麺は、西山製麺(北海道)とミネヤ食品工業(大阪府)から5種類を仕入れ、すべて違うスープの味に、よりマッチする麺を選択しているという。幅広い味が試せるのも、同店の魅力であろう。
さらに、季節に合わせて限定メニューも用意している。今年の3月末までは、長いチャーシューを蓋状に巻き込んだ「落し蓋ラーメン」(850円)を提供。こちらも、連日売り切れの大人気と、ファンを増やす足がかりになっている。夏場に向けての限定メニューとしては、冷やしラーメンを考案中とかで、夏の集客にも注目である。
「今までの経験を生かし、“和”を意識した醤油ラーメンを。他にはない、オリジナリティーを追求しつつ、すべての世代に支持されるおいしさを提供したい。そのためにも、感謝の気持ちを忘れずに精進を」と、山本店主。大阪のラーメンシーンでの活躍が、今後も楽しみである。
●店舗情報
「烈志笑魚油 麺香房三く」 所在地=大阪府福島区福島2-6-5/開業=2011年7月/営業時間=午前11時39分~午後2時39分、6時39分~11時39分。日曜・祝日は昼営業だけ。第4日曜定休/坪数・席数=約15坪・13席/客単価=800~850円/1日来店客数=170~200人
●愛用資材・食材
「極上七味」「実生柚子こしょう」 やまつ辻田(大阪府堺市)
同店で、お客が「くすり」と注文すると出てくるのが、紙に包まれた「極上七味」。スープに入れると、まずサンショウがふわりと香り、ピリリと味が引き締まる。また、白醤油ベースの「白壺ラーメン」用には、「実生柚子こしょう」を用意。いずれも、辛さと香りのバランスが見事で、味の変化を楽しめると好評である。
(実生柚子こしょう)規格=60g、要冷蔵