業務用加工食品ヒット賞 地域特別貢献賞:昔亭/フルタフーズ(富山市)「アメリカンドッグ」
○ファストフードとして定着 日本市場シェア80%以上に
●郷土食の普及に努力 地域雇用活性化貢献
1971(昭和46)年、マクドナルドが日本1号店を出店した年に創業したフルタフーズは、ファストフードとしてアメリカンドッグを日本に定着させた。アメリカンドッグの日本市場のシェアは80%以上とダントツのシェアを誇るパイオニア企業だ。
1984(昭和59)年設立の昔亭は、自社ブランドで富山名産のますの寿司などを販売しており、郷土食の普及に努めている。
昔亭、フルタフーズの従業員は631人、そのうち261人が定期雇用の派遣社員だ。食品メーカーとして「安全・安心」の追求のために正規雇用社員化を進めており、前年度は新卒採用で100人を募集するなど地域雇用の活性化にも大きく貢献している。
●独自の一貫システム すべての調理法対応
多くの食品企業が抱える「ヒット商品が育たない」「商品寿命が短い」「少量多品種への対応でコストがかかる」などの課題を、企画開発から製造、品質管理、保管仕分け、デリバリーに至るまでの独自の一貫システムにより、ローコストと高い品質を実現し、食品企業の課題解消役として活躍しているのが昔亭、フルタフーズの特徴だ。
富山県内6工場では、煮る、焼く、揚げる、蒸す、生のいずれの調理法にも対応できる生産設備を保有している。生産アイテムはドッグ類(アメリカンドッグ、チーズドッグ、ポテトドッグなど)を中心に、惣菜・肉惣菜(和惣菜、煮込み料理、ローストビーフなど)、米飯類(ますの寿司、肉巻きおにぎり、いかめしなど)、軽食・菓子類(ピロシキ、肉まん、たい焼きなど)と中食・ファストフードの商品を中心に、200~300アイテムを製造している。売上げベースでその70%がOEM・PB商品だ。
11(平成23)年4月には「アメリカンドッグの製造」で生産本部(本社第一工場、石瀬工場〔ミニドッグライン〕、装置グループ、業務・物流グループ)、品質保証部で食品安全に関する国際規格マネジメントシステムISO22000の認証を取得している。
また、アメリカンドッグのアジア市場への進出にも積極的に取り組んでいる。グループの中国工場では、中国国内向けにアメリカンドッグを製造。中国では「黄金棒」の商品名で販売され、ファストフード文化の広がりとともに好調に推移している。今後は、ベトナム工場でも製造する予定で、ベトナムでもアメリカンドッグを販売する計画だ。
●1日90万本の生産量 アイテム数は30以上
日本市場の80%以上のシェアを誇るアメリカンドッグの生産量は、日産90万本。アメリカンドッグだけで30アイテム以上を製造している。その100%が、OEM・PB商品だ。
レシピは、得意先ごとにすべて異なり、得意先の「品質」「コスト」「安全・安心」の厳しい要求に応えて製造している。
ミックス粉は1本1本すべて手作業で付けている。機械では、あのアメリカンドッグ独特の衣の膨らみやおいしさが出せないからだ。
11年にはアメリカンドッグのパイオニア企業として、10月9日を「アメリカンドッグの日」として記念日登録を行った。今後もアメリカンドッグのさらなる消費拡大に取り組んでいく。
◆本社所在地=富山県富山市西二俣335番地/代表者名=古田雅彬/創業=1971(昭和46)年1月(フルタフーズ)、1984(昭和59)年5月(昔亭)/設立=1979(昭和54)年11月(フルタフーズ)、1984(昭和59)年5月(昔亭)/資本金=9000万円(フルタフーズ)、3000万円(昔亭)/年商(2011年実績)=約240億円/従業員数=631人/関連会社=大冷、高岡フルタ