アポなし!新業態チェック(163)「ゴンチャ」東京駅グランルーフ フロント店

2021.03.01 505号 11面

 ●「ゴンチャ」が東京駅に旗艦店出店 メニュー拡大で対象客層を広げ、ターミナル駅の利用者を狙う

 アジアンスタイルのティーカフェ「ゴンチャ」を展開するゴンチャ ジャパンが、昨年11月に旗艦店と位置付ける店舗をJR東京駅の商業施設内にオープンした。

 同店が出店したのは、東京駅八重洲口の地下街にある商業施設「グランルーフ フロント」の一画。40席ほどのイートイン客席を持つ、同ブランドとしては大型の店舗だ。東京駅という立地を踏まえて、スーツケースなどの重い荷物を携えた旅行者のために、店内には入り口から段差のない広いスロープを設置。早朝7時からという営業時間も従来とは異なる。

 同ブランドのベースとなるメニューは、「ウーロンティー」「ブラックティー(紅茶)」「ジャスミングリーンティー」(各M300円、L350円)と「阿里山ウーロンティー」(M350円、L400円)という4種類のティー飲料(アイスはいずれも50円増し)である。ほかにも、阿里山ティーにオリジナルのフルーツソースを合わせた「阿里山ティーエード」や、フルーツビネガーを使った冷たいドリンクなど、飲料のバリエーションは幅広く、販売期間を限定した飲料もある。昨年10月から発売を開始したフードメニュー「彩々粥」は、当初の「塩昆布」がなくなり「黒胡麻坦々」「参鶏湯」「生姜トマト」(各540円、ティーセットは680円)の3種類となった。

 今回の店舗は、こうした同ブランドのメニューをフルラインで取り揃えており、利用者の間口を広げる新しいスタイルという意味で、「新業態」に近い店舗となっている。

 (価格は税抜き)

 ★けんじの評価:トップ原田氏の狙いはどこにあるのか

 2019年の12月に元マクドナルドの原田泳幸氏をトップに迎えたゴンチャ ジャパンは、昨年のコロナ禍にあっても次々と新たなメニューを投入してきた。昨年2月に「黒糖ミルク」、6月には「コーヒー」が新メニューとして登場し、「黒糖ミルク」は3月から、「コーヒー」は10月から全店に導入された。また、7月には夏向けの「フルーツビネガー」ドリンクを全店で発売。そして10月からはフードメニューとして「彩々粥」とスイーツの「クリーミータピオカ」が登場した。

 原田氏の就任後は出店も加速している。同氏の就任直前には50店舗ほどだったが、今年の1月にはすでに90店舗を超えた。今回の東京駅出店は、原田氏が想定するブランド展開に必要な最低限のメニューが準備されたということなのかもしれない。

 今回の店舗は旗艦店として位置付けられているが、ゴンチャ ジャパンの直営店ではない。フランチャイズ加盟により同店を運営しているのは、「びっくりドンキー」で知られるアレフだ。マクドナルド時代に直営店をFC店に移行する政策で業績を上げた原田氏だが、同社でも同じような方針を進めるのだろうか。現在の「マクドナルド」はフランチャイジー企業が大規模化しており、数十店舗を運営し、年商100億~200億円超という企業もある。こうした政策の目的は本部のスリム化と企業財政の好転だ。だが、店舗運営を外部化することには当然別のリスクもある。原田氏は十分に承知していることであろうが。

 ※本記事は1月25日時点の情報に基づく記事です。

 (外食ジャーナリスト・鷲見けんじ)

 ●外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 店名=「ゴンチャ」東京駅グランルーフ フロント店

 開業=2020年11月26日/所在地=東京都千代田区丸の内1-9-1 東京駅八重洲中央口地下1階 グランルーフ フロント内

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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