2024年5月度、外食動向調査 フードコンサルティング
●昨年と比べ休日1日減も30ヵ月連続増収
日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2024年5月度売上げは、前年同月比106.3%となり30ヵ月連続の増加を記録した。昨年と比べ休日が1日少なかったが、ゴールデンウイーク後半に「母の日」のスポット需要やインバウンド客の増加も続き、客数が前年同月比3.7%増、客単価も2.6%増となり、2019年比でも115%となるなど、好調な結果であった。
個別に見ると、前年比を下回った業態は、3月の5業態から4月に22業態まで急増し、5月も22業態となった。また、前年比マイナス5%を超える落ち込みの業態も、4月に続き7業態発生している。加えて2ヵ月連続で前年比を割り込んだ業態は、4月の2業態から15業態に急増し、昨年のコロナ明けから今春まで好調だった回復傾向が一旦落ち着いている印象を受ける。
●2ヵ月連続減、15業態に急増
昨年から今年3月までは各チェーンとも好調が続いており、5月時点でも全体では106.3%と前年比プラスでの推移となっている。しかしながら、先述の通り2ヵ月連続で前年比を割り込んだ業態は、4月の2業態から15業態に急増していることが気になる。
中でも、外食チェーンの優等生とみられてきた物語コーポレーションは「焼肉きんぐ」「お好み焼き本舗」で、木曽路は主力の「木曽路」と和食の「鈴のれん」、焼肉「じゃんじゃん亭」の各業態において2ヵ月連続で前年比割れとなった。
ほかにも、アトムの焼肉「がんこ炎、カルビ大将」、フレンドリー(ファミレス)、うかい、安定していた惣菜弁当の「柿安ダイニング」は3ヵ月連続で前年を割り込み、「ステーキ宮」に関しては、何と昨年10月から8ヵ月連続で前年を下回っている。
本紙で何度か掲載している公式「売上げ=客数×客単価」に基づくと、前年比で減収が続いている業態の多くは、一昨年から始まった値上げ(客単価←)に対して、客離れ(客数→)が起きているようだ。
つまり、これまでは人件費や原材料高などを理由としたある程度の値上げは容認されていたが、ここにきてお店が提供する価値と、消費者が感じる満足感、コスパなどが見合わなくなってきているのだ。
身近な例ではあるが、オフィス近隣にある大手ラーメンチェーンでは、コロナ期間中はランチセットの「麺類+チャーハン」がいずれも器からあふれるほどの盛り付けだったり、トッピングが乗っていたが、コロナ明け後になると1000円前後の価格は据え置きながら、チャーハンは約3分の2のボリュームとなり、麺類のトッピングも種類が減らされるなど、非常にわかりやすくお店にとってのコスト削減=お客にとってはコスパ悪化となってしまった。
恐らく、このような例が増えているのだろう。「ステルス値上げ」なる言葉もあるようだが、消費者は「価値」や「コスパ」に敏感であること、以前感じた満足感は意外と忘れないものであることを、外食経営に携わる皆さまにはあらためて思い起こしていただきたいものだ。