食品産業文化振興会、「機能性宇宙食の開発」テーマに二川健氏が講演
日本食糧新聞社が主催する食品産業文化振興会は2月29日、講師に徳島大学大学院・医歯薬学研究部生体栄養学分野教授の二川健氏を迎えて「機能性宇宙食の開発~無重力や寝たきりによる筋萎縮に有効な機能性食材の開発~」をテーマに東京・八丁堀の食情報館で例会を開催した。
二川氏は「無重力や寝たきりの状態ではユビキチンリガーゼが増加して筋組織を修復するIRS-1(タンパク質)の活性化を阻止するために筋萎縮につながる。大豆タンパク質がユビキチンリガーゼの作用を抑制し、筋組織の修復に役立つIRS-1を活性化させることが分かった」とし、筋組織修復への大豆タンパク質の有用性について説明した。
二川氏は「持続可能な食物生産システムの構築例として(1)高機能大豆を栽培(LED植物工場)(2)機能性タンパク質食品などに加工(3)残渣などで飼料化(4)高機能コオロギの育成(LED昆虫工場)(5)機能性タンパク質食品などに加工(6)虫体加工時の残渣などを肥料化(1)に戻る–という、光エネルギーを加えるだけで食物連鎖により半永久的に食物が生産できる((2)(5)が人間の食料となる)」構想を示した。「この循環システムは、宇宙での使用にも耐える『未来型ハイブリッド植物/昆虫工場』にもなり得る」と紹介した。(宇津木宏昌)