アポなし!新業態チェック(201)「麦のトリコ」元住吉店

2024.05.06 543号 11面

 ●松屋フーズが初のパスタ業態に挑戦 得意のソースと自家製の生パスタ、15アイテムのメニュー取り揃え

 松屋フーズホールディングス傘下の松屋フーズが、パスタの新業態「麦のトリコ」を神奈川県川崎市にオープンした。出店したのは東急東横線と同目黒線の元住吉駅近く、メインの商店街から少し入ったあたりだ。

 同社は創業以来、牛めし、カレー、豚カツ、寿司など、米飯を中心としたブランドを展開してきたが、小麦粉のパスタ業態を出店するのは今回が初めて。同店では、真空ミキサーを使用して店内で製造する生パスタを提供。これまで展開してきた業態からソース作りに自信を持つ同社が、「ミートソース」「カルボナーラ」「トマト」「たらこ」「ペペロンチーノ」という5種類の味付けのソースを開発した。

 メニューは、ベースとなるこの5種類の味付けについて、それぞれ(880円)(1080円)(1280円)という3つの価格帯で構成される。5種類×3バリエーションで、全15種類のメニューとなる仕組みだ。880円のメニューは、各ソースをパスタに絡めてチーズをかけるなど、定番のスタイルで提供する。1080円では、「キノコと熟成ベーコンの濃厚カルボナーラ」「熱盛!台湾風やみつきミートソース」のように、トッピングなどによってアレンジを加えた少し贅沢なメニューとなる。そして1280円になると、「渡り蟹のトマトクリームソース」や「オムたらすぱの大葉のせ」といった具合に、大幅にアレンジを加えた個性的なアイテムに変化する。

 同社の新しい挑戦として、注目に値する新ブランドが生まれた。(価格は税抜き)

 ★けんじの評価=料理の満足度は高い、多店舗化なるか

 筆者は学生時代、「松屋」江古田店によく訪れていた。もう、あまり記憶が定かではないが、普通の定食屋に近いスタイルの店だったはずだ。筆者の仲間内では豚肉のしょうが焼き定食が人気であり、筆者もいつも注文していた。当時の印象は、「低価格なのにサラダのドレッシングまでおいしい定食店」というものだったように思う。

 そんなことを思い出しながら、同店を訪れた。製麺機が置かれた店頭のウインドウの脇を入ると、店内にはカウンター席とテーブル席。カウンター席には注文用のタブレット端末が設置されている。

 生パスタというのは好みが分かれる食材だと思うのだが、日本人はどちらかというと、もっちりとした麺を好きな人が多いのだろう。「ソースが得意」と公言するだけあって、確かにソースの風味はしっかりしたものだと感じた。メニューには数量限定のちょっと珍しいデザートもあり、これもなかなか丁寧に作られている。料理の満足度は高い。

 ただ、せっかく15種類ものメニューを揃えたのに、ランチタイムにはベーシックなアイテムしか食べられないというのは残念だ。これは、将来オペレーションの対応によって変えていく予定なのだろうか。

 一つだけ、どうしても気になったのが同店のトイレの狭さである。男性用しか確認していないので、もしかすると女性用は違っているのかもしれない。しかし、仮に男性用の2倍の広さであったとしても、女性用としてはそれほど余裕のある広さではないと思う。清掃なども大変ではないか。

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「麦のトリコ」元住吉店

 開業=2024年1月31日/所在地=川崎市中原区木月2-8-1 ビジネスホテルすがた101

 ●編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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