メニュートレンド:驚きと納得の「寿司+パスタ」
花すしセット 1,155円(税込み) 寿司とパスタの両方楽しめる人気のランチ。写真のパスタは「さんまの大根鬼おろしパスタ(和風)」。店主はイタリアン出身なだけに、寿司店には珍しくサラダのドレッシングもジャガイモスープも自家製。「寿司だけでお腹いっぱいにするには値段が張る。しかしパスタを組み合わせると、リーズナブルに満腹感を得られる」(鬼嶋店主)というのも、この異色のセットの大きな強み
創業50年以上の寿司屋「しげ老鮨」は、寿司とパスタというユニークな組み合わせで注目を集めている。伝統の寿司と本格パスタという異色のコンビは、実は「いろいろな料理を少しずつ食べたい」「コスパよくお腹を満たしたい」という現代の外食ニーズに合致しており、幅広い客層を引きつけているのだ。
●異色の和洋コンビになぜか人気集中
「しげ老鮨」がパスタの提供を始めたのは約15年前。きっかけは、創業者であり鬼嶋大二店主の父親である先代からの言葉だった。「高校卒業後の10年間、この店で寿司の修業を積んだ後、イタリア料理店にも修業に出た。店に戻ることになった際、『戻るなら、寿司だけでなく新しく覚えてきたことをやってみろ』と言われ、パスタの提供を始めてみた」と鬼嶋店主。当初は「なぜ寿司屋がパスタ?」という反応も多かったが、テレビ局の取材をきっかけに話題を呼び、徐々に軌道に乗り始めた。
寿司とうどんやそばなどの組み合わせは、他店でもよく見かけるセットだろう。それなら、同じ麺類として「寿司×パスタ」があってもおかしくない。また、「一度の食事でカテゴリーが異なる料理の組み合わせでもいろいろ食べたい、という人は意外と多い。そんなニーズからも、寿司とパスタのセットが受け入れられたのではないか」と鬼嶋店主は語る。
一番人気のランチは花形の押し寿司と選べるパスタが付いた「花すしセット」。「先代の父が『これはカルパッチョ寿司だな』と感心していた」(鬼嶋店主)と言う通り、セットの花すしにはどこかイタリアンらしい雰囲気が漂う。パスタは寿司屋らしく「貝柱のポルチーニクリーム」「牡蠣と青海苔のパスタ」など、魚介を使ったものを中心にラインアップ。「寿司」と「パスタ」の同時調理は、寿司を握るつけ場と火や油を使うパスタの調理場を壁で仕切り、それぞれ独立した調理場とすることで、においや油が混ざるなど食材への影響が極力ないように工夫している。「忙しい時間帯は私は寿司に専念し、パスタは調理スタッフに任せている」(同)と、まったく異なるオペレーションは作業が分担しやすい側面もある。
「たまに『パスタだけ注文したい』というお客もいますが、寿司とのセットをおすすめしている。何といってもうちは寿司屋ですから」(同)と、パスタのセットが人気でありながらも、同店はやはり寿司店が先に立つというわけだ。
●店舗情報
「しげ老鮨」
所在地=東京都東村山市美住町2-24-47/開業=1972年/坪数・席数=30坪・26席/営業時間=11時30分~14時30分、17時30分~22時。水曜、第3木曜休/平均客単価=昼1000~2000円、夜2000~5000円/1日平均集客数=30~40人
●愛用食材・資材
「徳用しょうゆ」 ヒゲタ醤油(東京都中央区)
やさしい塩味で風味がよい
同店で、卓上醤油や仕込みに使われているのが同品。色・味・香りのバランスがよく、料理の風味を際立たせる。「くせがなく、うちの料理の味に香りが合っていて気に入っている。そのままなめてもおいしいので、卓上醤油にはぴったり。塩味がとがっておらずやさしい味わいで使いやすい」と鬼嶋店主。
規格=1.8L