2025年6月度、外食動向調査 フードコンサルティング
●43ヵ月連続で前年比増収を達成
日本フードサービス協会が発表した外食産業市場動向調査によると、2025年6月度売上げは、前年同月比6.0%増となり、43ヵ月連続の増加を記録した。
今年の6月は、例年に比べ雨の日は少なかったものの、気温の高い日が続き、食欲不振や体調不良も多く、大阪・関西万博の開催やインバウンド客の増加も続いたが、客数は前年同月比1.9%増とやや落ち着き、客単価は4.9%増となった。
この影響を受け、業態別では前年比を下回った業態が、3月22業態、4月16業態、5月4業態まで減少していたが、6月は一気に30業態まで増える結果となった。
●ついに「1000円の壁」突破
今回の「1000円の壁」とは、ラーメンの上限価格ではなく、スタッフの時給に関してである。現在、最も低い賃金水準の秋田県において、今年の最低賃金引き上げで時給951円から1015円となり、これにより全都道府県で時給1000円超えとなる。
最低賃金改定に関して、今回は全国加重平均で一気に「63円」も引き上げ、時給1118円を目安とすることが決まった。これは実に6%もの引き上げとなり、ただでさえすべてのコスト上昇の深刻な影響を受けている飲食業にとっては、「マジで勘弁して」という心境であろう。
しかしながら、消費者物価指数を見ると、2024年10月から2025年6月の平均値では、前年同期比3.9%増、食料品に限っては6.4%増となっており、この物価高による家計への負担増が重いことが、過去最大の賃上げ決定に影響を与えたようだ。
さらに政府は、「2020年代に全国平均1500円」という目標を掲げており、賃上げに向けた政策を総動員する考えを示している。つまり今後も毎年、最低賃金は上昇していくのである。ちなみに、最も時給が高い東京都は、現行の1163円から今年10月以降は1226円となる。
●生産性改善は待ったなし
日本の少子化と人口減少を考慮すると、今後仮にリーマン・ショック級の不況が起きても賃金水準が下がることは、もはやないと考えるべきである。
加えて、アジアや中東地域の経済成長が続いていることから、現地でも人手不足が起きている。すでに日本よりも賃金水準が高いエリアも増えており、日本国内で外国人材が安定的に採用できるかは、不透明な状況となっている。料理人など技能職人材に関しては、逆に日本から海外への人材流出が起きている。
これからは、店舗運営に必要な人数を揃えるという発想はもはや厳しく、いかに人数を絞って運営を可能にするかに発想を切り替えていく対応が早急に求められる。注文タブレット導入や2次元コードメニューなどのIT化、セルフサービス、デリバリーサービス導入など、考え付く限りの生産性改善策を、今すぐにでも取り組んでいくべきではなかろうか。