海外通信 外食ビジネスの新発想(92)四季を楽しむガーデンコンセプトのカフェ
●ガーデンパーティーのような体験ごとおいしい
ガーデンセンターでの買い物が味気ない日常のルーティーンではなく、一つのイベントになるとしたらどうだろう。そんな場所といえる「テレイン・ガーデンカフェ」はペンシルバニア州郊外の小さな町、グレン・ミルに存在する。外観はモダンでアップスケールなガーデンセンター。しかし、一歩足を踏み入れればインテリアを飾り、植物を植えるアイデアが湧き出るような世界観が広がる。春は球根の花のアレンジやリースがあふれ、秋は収穫やカボチャがテーマになり、クリスマス時期は店全体がクリスマスマーケットに変貌する。
その中でも常に人が集まるセンターピースとなっているのがカフェスペースだ。買い物目当ての客とカフェ目当ての客はちょうど半々だというが、ショップもカフェも車を走らせて季節ごとに行きたいと思わせるほど内容が常に変わっている。室内にいるのに屋外のような開放感は、まるでグリーンハウスの中で食事しているかのようだ。唯一無二の体験が楽しめ、貸し切りウエディングやパーティーが行われることもある。
ブランチやランチに訪れるとまず運ばれてくるのは植木鉢の中でふんわりと膨らんだブリオッシュと手作りの季節のバター。ドリンクは、定番のコーヒードリンク以外にも「ラベンダー・ラテ」(6$)、爽やかな「自家製レモネード」(5$)、アルコール入りカクテル「ストロベリー・ルバーブ・ミモザ」(13$)など、カラフルで目にも楽しいドリンクがバラエティー豊富に揃う。カクテルは季節によって変わり、「ストロベリー・ミント・モヒート」(12$)や「ベリー・プロセッコ・スマッシュ」(14$)などどれもオリジナリティーと季節感にあふれ魅力的だ。
夕方4時から6時のハッピーアワーは、まるでガーデンパーティーに招かれたような雰囲気。日替わりのおすすめカクテル(8$)を片手に、フードメニューを悩む時間も楽しい。
ガーデンコンセプトの店らしく、食事メニューは野菜が豊富で見た目にも緑が多い。前菜の「クリーミー・ブラータ」(13$)は黒ニンニクのピューレを敷いた上に赤、黄色、オレンジのプチトマトや緑のハーブを添えている。定番の「アボカドトースト」(13$)や「シーザーサラダ」(14$)のほかにキヌアと揚げたヒヨコ豆、ケールのサラダにファラフェルを添えた「ハーヴェスト・ボウル」(18$)などグルテンフリーや、ベジタリアンに配慮したメニューが並ぶ。
食後はショップを散策するのも楽しみの一つだ。キッチン雑貨コーナーにはパンと共に提供された季節のバターのミックスやカクテルのシロップなども販売しており、楽しい食事の余韻も楽しめる仕組みになっている。ガーデンパーティーを楽しんだ後にお土産を渡されたような気分が楽しめる。
(井澤歩)
●店舗情報
店名=Terrain Cafe
所在地=914 Baltimore Pike, GlenMills PA19342 他4店舗