宅配ビジネスのキーマンに聞く(1)ピザハット・宮本幸彦氏
日本KFC(株)が手掛ける宅配ピザチェーン「ピザハット」は“生地までおいしいピザ”を売り物に着実に店舗数を拡大している。なかでもクラストのエッジ(みみ)にチーズを巻き込んだ「ゴールデンチーズクラスト」は記録的な大ヒットメニューとなり、宅配ピザ市場の活性化にも大きく貢献した。昨今はテレビCMを積極的に展開しさらなる事業拡大を狙っている。ピザハットFC営業チームの宮本幸彦チームリーダーに現状と今後の展開について聞いた。
‐‐ピザハットの現状は。
宮本 ピザハットは一九五八年にアメリカのカンザス州に生まれ、いまでは世界最大のピザレストランチェーンと化しています。日本に上陸したのは昭和48年。当初はレストラン(イートイン)事業でした。平成3年、当社がその事業を受け継ぎ、宅配ピザチェーンとして再スタートしました。現在、全国に直営一八五店舗とFC一四七店舗の合わせて三三二店舗を展開しています。
‐‐ピザハットのセールスポイントは。
宮本 ピザハットの一番の売り物は高品質なピザ生地です。各店舗で小麦粉から練り上げる手作りの生地に、旬の素材をトッピングしたオリジナルピザは、他社にはまねのできないおいしさだと自負しております。
もうひとつはKFCと同様にお客さまの心の満足を目指す、おもてなしの心を大切にした接客姿勢です。適切な電話対応はもちろん、独自開発の電磁保温システムにより、焼き立てそのままのピザを迅速なデリバリーでお届けしています。
‐‐宅配ピザニーズの現状についてお聞かせください。
宮本 宅配ピザの市況は依然と厳しいですね。他社との競合で価格競争が避けられない地域もあります。それでもやはり高品質ニーズは大きい。ゴールデンチーズクラストの大ヒットからみてもお客様は、低価格よりもクオリティーの高い商品を求めていると思います。当社はこれからも低価格路線に走ることなく、商品の品質とオリジナリティーでお客様のニーズにこたえていきます。
‐‐ピザハットのメニューの特徴と今後のメニュー戦略は。
宮本 「チーズリングクラスト」「ゴールデンチーズクラスト」「ふっくらパンピザ」「イタリアンクリスピー」という四種類のクラストを有する豊富なバリエーションです。なかでもソフトな口あたりとボリューム感が売り物の「ふっくらパンピザ」は、各店舗で生地から手作りするピザハットだからこそできるもの。一度食べたらやみつきになるほど根強いファンが多い基幹アイテムです。
そして、もうひとつの人気商品は、クラストのエッジにチーズを巻き込んだ「ゴールデンチーズクラスト」です。発売と同時に「みみまでおいしい」と大好評で、ピーク時は前年同月比一六〇%というビッグセールスを記録。現在もクラストのオーダー構成比四割に達する人気です。さらにその新バージョン、ソーセージをはさんだソーセージクラストや、ハーブを練り込んだハーブクラストも好評です。
また、当社で扱っていなかった(他社ではメーンの)ハンドトス・クラストの導入も検討中です。これが実現すれば、すべてのクラストをラインアップすることになり、より多くのお客様の要望にこたえられるようになります。
‐‐今後の事業展開と出店戦略については。
宮本 広告戦略としてテレビCMを積極的に活用します。チラシのポスティングも大切ですが、やはり売上げに直結するのはテレビCMが一番です。かつてキャンペーンCMは年二回でしたが、今年は四回に増やしました。今後は全国規模で当社の年六回あるキャンペーンのすべてにテレビCMを活用したいと考えています。
そのためにはスケールメリットの構築が大前提。全国五〇〇店舗の早期達成が最優先目標です。
‐‐ありがとうございました。
◆日本ケンタッキー・フライド・チキン(株)ピザハットFC営業チーム/所在地=東京都渋谷区恵比寿南一‐一五‐一、電話03・5722・7214/ピザハット店舗数=三三二店舗(直営一八五・FC一四七)/ピザハット年商=二二四億五六〇〇万円(今期目標)