この一品が客を呼ぶラーメン編・大阪:「麺乃家」紀州梅塩らーめん
今、大阪では、ラーメンのフードパークが花盛り。続々とご当地ラーメンが進出するなか、独自のスタンスの味を提供しているのが、「麺乃家」。まだ開店して二年だが、その和風の魅力にとりつかれた客で、常時にぎわっている。なかでも一番人気が、さっぱりスープと酸味がやみつきになる、「紀州梅塩らーめん」(七五〇円)だ。
「麺乃家」のラーメンは、“こってり系”とは対極にある“さっぱり系”。「いろいろと食べ歩き、自分が一番うまいと思うのがこの味だった。別に、和風を意識したわけではありません」と、瀬戸茂男店主。ギラギラしたラーメンを見慣れた人間には、見た目も味も新鮮に感じられる。
一番人気の「紀州梅塩らーめん」の特徴は、塩スープと梅肉がマッチした、さわやかな風味。トッピングの梅肉は、天然塩だけで漬けた紀州の南高梅を、皮ごと刻んで形づけたもの。まず、そのままスープを味わい、徐々に梅肉を崩しながら食べることで、最後まで違うおいしさが楽しめる。
麺は、特注の中細麺。トッピングには、自家製チャーシューやメンマ、ネギ、刻んだ大葉、ブロッコリーの新芽、ミニトマト、焼き海苔を使用。トマトがのっているのもユニークだが、彩りとともに、塩との相性も考えているとか。
塩味が加わったトマトは驚くほど甘く、味のアクセントにも一役買っているようだ。
「化学調味料をほとんど使わず、素材にこだわる」というこの店。スープのだしは、肉系二対魚系一で合わせたもの。材料には、和歌山の地鶏・紀州鶏を丸のまま使い、土佐清水のソウダ節、サンマ節、焼きアゴ、道南産真昆布などを使用している。
紀州梅塩らーめんの場合は、この基本スープに、天然塩がベースの塩だれを加えて仕上げられる。
客層は、四〇~八〇代中心で、週末はファミリーも多いという。体が求める優しいおいしさが、多くの大人のファンをつかんでいるのだろう。
◆「麺乃家」(大阪市中央区上本町西五‐一‐六、電話06・6761・9117)営業時間=午前11時30分~午後3時、6時~翌朝2時(日曜は午後10時まで)※スープがなくなり次第閉店、月曜日・第3火曜日定休/席数=一七席/一日食数=約四〇食
◆食材の決め手:「石垣の塩」 (株)石垣の塩(沖縄県石垣市)
紀州梅塩らーめんのポイントになるのが、スープに加える塩だれ。この店では、ベースになる塩に、沖縄の海水から作った「石垣の塩」を使用している。
石垣の塩は、独自の低温乾燥で海水から水分だけを取り除いた自然海塩。ミネラルたっぷりで、まろやかな塩味が特徴だ。
塩だれは、この塩を酒に溶かしながらアルコールを飛ばし、削り節でとったスープと合わせて作るという。