伊那食品工業、冷やしてもペースト状の新物性寒天2種を開発

2006.02.06 310号 7面

寒天のトップメーカー、伊那食品工業(株)(長野県伊那市、電話0265・78・1121)はこのほど、凝固力が極端に低い物性の寒天と60~70度Cの温湯で高い溶解性を示す寒天を開発した。それぞれ「ウルトラ寒天・イーナ」「即溶性寒天・マックス」の商品名で、健康的な寒天の機能性を訴求しながら、ペースト食品や飲料など新分野への用途を拡大させる。

「イーナ」=写真=は、従来の非凝固性「ウルトラ寒天」(特許)を一段と低分子化し、固まる力を極めて低く抑えることに成功したもの。一般の寒天(分子量30万~40万)、ウルトラ寒天(5万~15万)に比べ、分子量を5万~10万の低く狭い範囲に安定化させたのが大きな特徴。

寒天濃度1・5%のゼリー強度は10g/平方cm以下と、溶かして冷やした時でもゼリー状を形成しないため、ゼリーを漉(こ)したりミキシングなど、特殊な加工を加えずペーストを作ることが可能になった。

分子量の分布を新技術でシャープにしたことから、ペースト状でも糊状感や寒天臭が少なく、80度Cで溶け簡便性も高い。

とろみ感のある機能性飲料、ジャム、スプレッド用ペースト、たれ・ドレッシング・調味料の具材の沈降防止、安定化、新食感のデザート開発などのほか、医薬品、化粧品、工業用と広い用途が期待される。

「マックス」は、溶解温度(熱湯80度C以上)とした「即溶性寒天」(同)の溶解温度を約20度C下げ、60~70度Cの温湯でほとんど完全に溶ける物性を持つ。溶けが早いため噴きこぼれを抑制し、電子レンジでの調理に適している。

溶解する時の水量が少ない場合や、脂質、タンパク質、ミネラルなどを含む液体に直接溶かすことが可能。凝固力の高いゼリーを作ったり、果汁、牛乳など高温処理を控えたい場合に特性を発揮する(各特許申請中)。

荷姿は各1kg×10、10kg×1。価格は、従来製品に比べ若干高めになる。量産体制が整い次第発売する。

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