メニュートレンド:1個10円のこまんじゅう 「小饅寿本舗」

2007.06.04 329号 2面

1個10円という手ごろさと、10円とは思えない本格的な味が世代を超えた幅広い客層から支持を得ている「10円まんじゅう」。関東を中心に展開している店舗だけでも、「和ふ庵」「江戸うさぎ」「谷中福丸饅頭」「久兵衛」「シャトレーゼ」「きらら」「香港厨師会」などがあり、まさに「10円まんじゅう戦国時代」といった様相を呈している。「小饅寿本舗」もそうした「10円まんじゅう」店の一翼として、驚異的な売上げをあげているチェーンだ。

宅配ピザ「ウイリー」を展開している(株)ウイリーが、「小饅寿本舗」1号店である高砂店(東京・葛飾区)をオープンしたのは、昨年2月のこと。以来、順調にFC展開を行い、6月現在では23店舗出店している。

同社執行役員統括本部長の大川亮氏によると、「下町発の10円まんじゅう」としてテレビなどのメディアに取り上げられ認知度が高まったことが追い風となり、1店舗当たりの平均月商が500万円(平均坪数10坪)という好調な売上げを続けており、中にはオープン月に1050万円を売った店舗もあるという。

市場が成熟し、もはや飽和状態にある宅配ピザ業界の中で売上げが低迷していた同社にとって、新業態の「小饅寿本舗」を展開したことは起死回生の大チャンスとなったと大川氏。あまりの人気に供給生産体制が間に合わず、現在でも約10店舗が出店待ちの状態で、来月には千葉県東金市の製造工場を100坪増設し、体制を強化していく予定だという。

「小饅寿本舗」の「こまんじゅう」は、工場から冷凍の状態で各店舗に供給され、店舗でスチーマーを使ってお客の目の前で蒸し上げるため、店舗に必要な設備は、保存用の冷凍庫と、まんじゅうを蒸すスチーマーだけ。既存店の店舗面積は平均10坪と小スペースで、中には5坪の銀行のATMコーナー跡地に出店している事例もある。

そのため、物件取得費を別にして初期費用は平均して1000万円弱であり、既存店の初期費用投資回収は10ヵ月前後と、驚異的な早さだ。

10円まんじゅうの人気の理由はもちろん「手ごろな価格」である。しかし、いくら10円でも安かろうまずかろうでは、リピーターを獲得することは不可能だ。

だが同社では、「小饅寿本舗」を展開する以前から、米飯、惣菜販売の「やまと屋」において季節ごとの和菓子や日本一安いみたらし団子「元気団子」を販売しているため、和菓子についての技術力があった。さらに食材においても、同社の橋口政治社長の出身地、鹿児島県種子島産のサトウキビから作った黒糖ソースを生地に入れ、独特の香ばしさを出すなどの工夫を凝らして他社との差別化も行っている。

実際に試食してみると「こまんじゅう」はしっとり、もちもちとした食感があり、黒糖の風味が程よく効いた生地と適度な甘さのこしあんがマッチした十分に満足できるうまさだ。また、蒸したての提供という手作り感、ビタミンやミネラルなどを豊富に含む黒糖を使用した健康志向、気軽につまめる一口サイズといった要素も、年齢を問わず幅広い年齢層から支持を得ている理由となっているのだろう。化粧箱入りもあり、ちょっとした手土産としても人気があるという。

今後、関東だけではなく全国へと展開していくであろう「10円まんじゅう」。今、注目すべき業態の1つであることは間違いない。

◆「小饅寿本舗」

経営=(株)ウイリー/初期投資=1000万円(加盟金、保証金、設計施工管理費、研修費含む。物件取得費別)

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