アポなし!新業態チェック(15)「マックカフェ」恵比寿ガーデンプレイス店
2007年8月末、日本マクドナルドが新規事業となる「マックカフェ」15店舗を同時オープンした。同業態は「ファーストカジュアルカフェ」をコンセプトとし、「ひと手間をかけ、おいしさを追求し、フード、デザート、ドリンクすべてのメニューにこだわりをもったカフェ」が特徴であるという。
「マックカフェ」は現在、世界33ヵ国で展開されているコンセプトであり、今回の出店にはこうした海外での成功例をベースに、日本独自のアイデアを盛り込んだ商品や店舗運営のシステムが生かされている。臨店した恵比寿ガーデンプレイス店の店内は、テーマカラーであるブラウンを基調にした木目調のデザインで、客席は壁面から張り出したバー状のいすとテーブルという軽快なスタイル。
同店のフードメニューは、クロワッサンの中にエビやブロッコリーなどの具を入れた「マックデリ」(290~330円)をはじめとして、「ナチュラルスープ」(390円)、ミニサイズのあんパン、バゲットなど10種類以上のパンを揃えた「ベーカリー」(各100円)など。子ども向けには、イヌやブタなどの動物をかたどった「どうぶつパン」(260円)もある。ドリンクメニューには、カフェの定番である「カフェラテ」「カフェモカ」などのほかにも、「ブラウンカプチーノ」「キャラメルマキアート」などが並び、「南国デザートのジェラート」や「ポップオーバー」といったデザートも充実している。
同業態の15店同時出店が、今後どのような展開を見せるのか業界の注目が集まっている。
★けんじの評価
10年ほど前にマクドナルドが打ち出したコンセプト「マックカフェ」が、その後の撤退を経て、再び表舞台に現れた。元アップルコンピュータ(こっちもマックなのは偶然?)の社長であった、現日本マクドナルドの原田社長によれば、「戦略、位置付けともに別のもの」ということであるらしい。
臨店してまず気付くのは、ロゴマークなどのデザインのカッコよさだ。原田社長の以前の業界であるコンピューターの世界ではよく知られた「Javaソフトウェア」のロゴマークにも似た、絵文字のコンセプトアイコンが楽しい。以前のマックカフェと同じ場所につくられた恵比寿ガーデンプレイス店の小さな店内には、さまざまな新メニューが並び、既存のマクドナルド店とは違った「選ぶ楽しさ」を与えてくれる。メニュー数のわりに客席が少ないのは、テークアウトを中心に想定した業態ということだろうか。
イメージとしては、スタバをはじめとする既存のカフェ業態が、家具やレイアウトなどで「店内でのくつろぎ感」を訴えているのに対して、マックカフェは「カフェのメニューをリーズナブルな価格で素早く提供する」というファストフードの基本に忠実であるような気がする。
この「新生マックカフェ」は、「小型店のリニューアルや既存店への併設」を狙っているという。このコンセプトがどれだけ受け入れられるか期待したい。
(外食ジャーナリスト 鷲見けんじ)
●店舗概要/店名=「マックカフェ」恵比寿ガーデンプレイス店/開業=2007年8月29日/所在地=東京都渋谷区恵比寿4-20-3 オフィスタワー内/席数=10席
◆鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。