電化厨房特集:大手外食チェーンの最新電化厨房=ロイヤルホスト馬事公苑店

2010.05.03 372号 03面
単なるガスから電気への置き換えではなく、その特徴を生かした時間・温度管理をはじめ、メニュー構成にも連動させていきたいとする

単なるガスから電気への置き換えではなく、その特徴を生かした時間・温度管理をはじめ、メニュー構成にも連動させていきたいとする

ニチワ電機(株) スチームコンベアオーブン

ニチワ電機(株) スチームコンベアオーブン

 ロイヤルホストの電化厨房の導入開始は2007年のこと。当初は単にガスから電気に置き換えた程度の、主にコスト面で検証などの実験的な導入であり、問題点も多かったという。以来、ノウハウを蓄積し、現在はステップアップした新しいスタイルでの導入が始まっている。

 ロイヤルホストでは、昨年までに10店舗で電化厨房を導入し、今年上半期でさらに5店舗を予定している。中でも、大きな転機となったのが昨年夏の町田店のリニューアルオープンであり、「建て替え改装でゼロから設計を行えたので、これまでテストしてきたものの集大成を行うことができた」と改装推進部の前川剛部長。

 注目すべき点は、スチームコンベヤーオーブンの導入だ。スチームコンベクションオーブンでハンバーグをおいしく焼くことはできるが、従来の開き戸型のものでは、ピーク時に対応しきれず、オペレーションにはのらない。「そのため、テスト済みの『コンベヤー』に『スチーム』と『電気』を組み合わせた機器ができれば、品質の安定や向上が図れるとの考えから、メーカーとの共同開発を行った」(前川部長)。ハンバーグ、チキングリル、そしてドリア、グラタンなどにも対応可能の設定だ。

 スチームコンベヤーオーブンのほかには、スチームグリドル、オートリフトフライヤー、パスタボイラー、IH調理器が、現段階での基本スペック。特にスチームコンベヤーオーブンやスチームグリドルの採用は、「誰がやっても同じようにできる」という面で劇的に変化をもたらしたという。例えば、トレーニングや作業時間が短縮する分、皿をきれいにする、盛り付けを丁寧にといった、“お客さまに目を向ける時間”が増えた。

 馬事公苑店では、昨年末のリニューアルオープン後、「ハンバーグがおいしくなった」との声も多いらしい。だがそれは、電化厨房導入をはじめハード面のリニューアルが、ソフト=スタッフによい影響を与えた結果とみている。

 今は、「さらに実際的な効果ができれば、商品構成などもからめて、来年以降、展開していこうという段階」(同)であり、単なるガスから電気への置き換えではなく電化厨房ならではの効果、主に品質の向上や安定、生産性の向上を得られるようにしていきたいという。

 ◆現場のコメント:ロイヤルホスト馬事公苑店・成岡実料理長

 「電化厨房を導入したことによって感じる大きなメリットは、厨房環境が格段に改善されたこと。そして、火力などを数値化できることによって時間や温度の管理が容易になり、品質のブレがなくなったことですね」(鎌田氏)

 「コスト面では、昨年の1月度と比較すると、光熱費の使用量が約1割削減しました。また、清掃面でもとても楽になりました。例えば、油汚れでもサッと拭くだけでよく、力加減の差による汚れ落ちのムラもなくなりました」(成岡料理長)

 ◆店舗メモ

 ●「ロイヤルホスト 馬事公苑店」/所在地=東京都世田谷区上用賀2-3-1

 ●ロイヤルホールディングス(株)/本社所在地=東京都世田谷区桜新町1-34-6/事業内容=「ロイヤルホスト」291店舗(2009年12月末現在)ほか

 ◆使用機器紹介:ニチワ電機(株) スチームコンベアオーブン

 従来のコンベヤーオーブンに「スチーム」を組み合わせることによって、強い熱風による食材の乾燥やストレスがなく、素材本来の持ち味をジューシーに引き立てることが可能。ハンバーグ、チキングリル、そしてドリア、グラタンなどにも対応できる。消費電力=3相200V×10.4kW

 ◆CO2削減への取り組み

 [水道光熱費の「見える化」]

 水道光熱費の使用量を各メーターではなく一元で管理できるように進めている。パソコンを使い、時間帯ごとにグラフで見られることで、問題発見が容易になり、作業改善指導にも役立つ。また、スタッフの意識向上にもつながるとみている。

 [照明]

 省エネ球は9割以上の店舗で導入済みのため、次の段階としてLED導入も実験的には行っているが、客席の雰囲気づくりや料理をおいしく見せる照明としては、まだまだ課題が多いという。

 [食品リサイクル]

 グループ全体では45%以上クリアし、さらに高める取り組みを進めている。

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