地域に根ざした食品企業の取り組みを顕彰する「第14回地域食品産業貢献賞」の受賞企業7社が決定しました。食文化の継承、地産地消、技術革新など貢献している企業や団体などを日本食糧新聞社が選定、地方から日本の“食”を支える企業をたたえます。
株式会社はくばく
地域産業振興貢献 大麦・雑穀で地域の健康増進に貢献
はくばくは、大麦・雑穀製品を中心に、乾麺、麦茶、レトルト食品などを製造・販売する。精麦市場では国内60%以上のシェアを持ち、大麦や雑穀の健康機能性に関する研究・検証にも力を入れ、そのエビデンスを生かした健康的な米飯食の提案「主食改革」を進めている。
地域貢献では、山梨県北杜市と2020年に「食と健康」を核とした包括連携協定を締結し、24年から大麦・雑穀を市民の食生活に取り入れる「おこめプラス健康プロジェクト」を展開。自治体や地元の栄養士、食生活改善推進員らと連携し、健康教室や食育授業などに取り組む。
また、サッカーJリーグ・ヴァンフォーレ甲府の公式スポンサーを2000年から務め、自社工場の火災時にはサポーターから製品購買による支援を受けるなど、地域と互いに支え合う関係を築いている。
株式会社丸富士
社会貢献 製菓製パン卸の立場から米粉需要拡大に尽力
丸富士は、製菓・製パン材料の提供をはじめ、開業支援、加工・製造機械の販売やメンテナンスなどを手掛ける。持続可能な食文化への貢献を目指し、2023年に本社内へ米粉を活用したパンやスイーツの製造ラボ「ミライの米工房」を開設し、米粉プロジェクトを推進している。
製粉機メーカーの西村機械製作所と連携したイベント開催などを通じ、米粉需要の拡大にも取り組む。原料面では高品質な米粉の安定確保に向け、新潟県の農業法人と提携し、米粉専用品種「笑みたわわ」の生産を25年産から開始。全量買い取りによって生産者のメリットにも配慮する。
工房では社員のパティシエやパン職人が商品開発を担い、グルテンフリーの米粉パンなどを開発・販売し、原料生産から商品化まで一貫して米粉の可能性を広げている。
コーミ株式会社
伝統ロングセラー貢献 「こいくちソース」で中京の食卓支える
1950年創業のコーミは、ソースやトマトケチャップ、各種調味たれなどを製造・販売する総合調味料メーカー。「値段は高いが良い味です」のフレーズで親しまれる「コーミソース」などを通じ、75年以上にわたり中京地区の食卓を支えてきた。
地域農業の維持にも力を入れ、国内の加工用トマト栽培発祥の地である愛知県で、生産者減少への対応を推進。自社農場で社員が栽培に携わる「半農半X」プロジェクトを展開するとともに、愛知県初となる全自動加工トマト収穫機を導入し、作業効率化や生産者の負担軽減に取り組み、そのノウハウを地元農家へ還元している。
2026年には豊橋市に新拠点「三弥工場」を竣工し、生産機能の集約による物流効率化と環境負荷低減を推進。地域の一次産業と連携しながら、持続可能な食文化と産業基盤づくりに取り組んでいる。
株式会社山城物産
地域活性化貢献 関西での日本茶の普及・一般化に貢献
1960年創業の山城物産は、「『日本茶のふるさと』山城から本当に良いお茶を、家庭で。気軽に。」を理念に、日本茶の製造・販売を手掛ける。
創業当時、専門茶店での販売が主流だった中、八百屋やスーパーマーケットなど新たな販路を開拓し、茶業界に先駆けてポリエチレン包装を採用するなど、日本茶の品質向上と庶民化に貢献してきた。
現在も「日本茶のカジュアル化」を掲げ、ドリップバッグ商品やアウトドア向け商品、緑茶ハイ・ほうじ茶ハイ向け商品など、新しい飲用シーンの提案に積極的に取り組む。酒類メーカーをはじめ異業種との連携も進め、日本茶との新たな接点を創出。直営店「和束園」では毎月茶教室を開催するなど、地域での日本茶文化の普及にも力を入れている。
サンボレ株式会社
社会貢献 災害用手動浄水器で地域の水源を飲み水・生活用水に
サンボレは、防災・減災分野を中心に製品や施工、導入後の運用支援を手掛ける。災害時用手動浄水器「あかり」シリーズは、電気を使わず手動ポンプで河川やため池、プールなどの水を清潔な飲料水に変えることができ、断水時の飲料水や生活用水の確保に活用される。
手動型「あかり」に加え、手動・電動を切り替えられる「あかり+」も展開し、避難所や企業のBCP対策など幅広い需要に対応する。地震や豪雨で断水が長期化する中、備蓄水や給水車だけでは補いにくい水需要に着目し、現地の水源を活用できる仕組みを提案。
2026年の熊本地震でも退役自衛官のネットワークを生かして現地情報を収集し、復旧状況や地域のニーズに応じた給水支援を行うなど、被災地の暮らしを水の面から支えている。
株式会社さんれいフーズ
地域活性化貢献 地域食材の活用による地域振興と全国展開
1972年、山陰酸素工業の液体窒素冷凍部門から独立し、米子市で「山陰冷食」として設立されたさんれいフーズ。山陰両県を中心に山口県から京都府北部まで、日本海沿岸エリアの外食店、量販店、医療・福祉施設、学校、旅館などへ業務用食材を供給している。
卸売機能に加え、地場産原料を使用した水産加工品や冷凍調理食品を製造するメーカー機能も持ち、山陰名産のカニ加工などを国内外へ展開。半世紀以上にわたり地域の食を支えてきた。
近年はM&Aや拠点整備、システム化を進めながら事業基盤を強化し、東京、福岡、仙台などで広域営業を拡大。シンガポールにも現地法人を設立するなど海外展開も進め、「食」を通じた地域活性化と“山陰”のブランド力向上に取り組んでいる。
チョーコー醤油株式会社
ブランド商品信頼貢献 金蝶ソース、皿うどんのお供として地元に定着
1941年、長崎県内の醤油店29軒による共同事業を源流とするチョーコー醤油は、現在、長工醤油味噌協同組合が製造、チョーコー醤油が販売を担い、グループで創立85周年を迎えた。
醤油・味噌業界では早くから有機栽培原料を使った商品づくりに取り組み、有機醤油や有機味噌、ぽん酢など幅広く展開する。
地域との結び付きでは、長崎の皿うどん文化とともに定着した「金蝶ソース」が象徴的で、長崎新地中華街の意見を取り入れながら改良を重ね、地元の食文化を支えてきた。さらに、対馬・壱岐などのゆず、平戸・生月の飛魚、五島・県央のはだか麦、大村の黒田五寸人参など、県産原料を生かした商品開発にも力を入れ、地域の農漁業と連携しながら長崎ならではの味を全国へ発信している。
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地域経済を支え、活性化に貢献する食品業界。日本食糧新聞社の全国9支社局が厳選した話題をご紹介。
伝統を守りながら革新に挑戦する企業、地域貢献に力を入れる企業など、さまざまな取り組みから、地方の「今」が見えてきます。






