飲食業界のアイドルを探せ(16)キリン食堂・鳴嶋久恵さん

1999.10.04 189号 23面

店内に一歩足を踏み入れると、餃子を焼く香ばしいにおいやラーメンをゆでる真っ白な湯気よりも先に、まず彼女のまぶしい笑顔が目に飛び込んでくる。

「いらっしゃいませっ。こちらへどうぞ!」

鳴嶋久恵さん。二一歳。8月にオープンしたキリン食堂のオープニングスタッフとしてアルバイトに精を出す毎日だ。

その素敵な笑顔と底抜けの明るさに惚れ込み、店長自らスカウトしたというだけあって、彼女の立居振舞には華がある。

「正直言って、キリン食堂のスタッフとしてはまだ未熟です。お客さまへの応対についても勉強不足だと自覚しています。だからせめて元気良く、と思って」

そこへ一組の親子連れが来店。鳴嶋さんは男の子の目の高さにしゃがみ、飴玉をひとつ差し出した。むろん子供は大喜びだ。こんな気配りが自然にできるのも彼女の魅力だろう。

「毎日緊張の連続だけど、でもいつも何か新しい発見があるから、楽しいです。失敗? もちろんありますよ。この間も餃子の油をひき忘れて、社長に大目玉をくっちゃいました」

そう言ってぺロッと舌を出す仕草がまた憎めない。

そんな彼女の趣味は、スポーツクラブでたっぷり汗を流すこと。ハードな立ち仕事を終えてからの運動とはなんとタフな。

「最近、足の疲れがとれる運動法を発見したんです。だからかえって楽なんです」

現在、鳴嶋さんは調理においてはたまに餃子を焼く程度だが、いずれはほかのメニューにも挑戦してみたいという。

「実は私、料理が苦手だから、花嫁修業のつもりでがんばっているんです。でもラーメンと餃子しか作れない奥さんじゃ失格ですね」

これまたさわやかに笑った。

◆「キリン食堂」=神奈川県相模原市星が丘二‐一‐三、Tel042・754・4541

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