繁盛店の愛用食材 店主が選び、客が支持する逸品(2)
◆山下軒 鶏豚湯
うちは揚げ物専門店ですから揚げ物と和風料理は充実しています。だからといって居酒屋感覚で利用される常連客さんに対し、それらばかりでは飽きられてしまいます。季節ニーズやお客さんのTPOに合わせた差込メニュー開発が必要です。
そんな中、愛用しているのが「鶏豚湯」です。鶏骨と豚骨を原料とする中華ガラスープの素で、中華風料理に活用しています。締めのミニラーメンや炒め物に使ったり、とても便利ですね。使い始めてから中華料理に対する関心も高まりました。
■埼玉県大宮市仲町二‐三三‐一、048・641・0167
◆さぬきうどん・はがくれ 生醤油とオレンジエッグ
一番の愛用食材といえば生醤油だが、これは特別に讃岐から仕入れているとしか公開できない秘密の品。生醤油とともに看板メニューの「かまたま」を引き立てる生卵は、三重県・垣善ファームス生産の「オレンジエッグ」(販売元・大阪市北区の(株)オレンジエッグ)だ。薬剤を使用せず、厳選した緑飼で飼育した鶏の卵だという。天谷さんは「生食用の安全でかつおいしい卵を」という考えで選択。黄味の色も味も濃く、生醤油とも抜群のハーモニーをみせる。
■大阪府大阪市北区梅田一‐一、06・6341・1409
◆ル・ジャルダン・グルマン 地御前産・川崎さんの牡蛎
地御前産のカキは、高品質と大きさで昭和52年に水産部門で天皇杯を受賞。現在、三十数軒の業者がカキ養殖を行っている。そんな中、常に研究を怠らない川崎さんが、特に粒が大きく良質なカキを育てている。広島といえばカキの本場だが、これほど大粒のカキに巡り合えることは地元でも珍しい。広島県内では同店のほかに日本料理店二軒にしか卸しておらず、あとはすべて東京へ出荷している。このカキは、広島の人でもめったに口にすることができない。
■広島県広島市西区草津新町二‐五‐二四、082・276・1558
◆悟空 松葉ガニ
11月下旬から2月いっぱいの間の限定メニュー「四川鍋」に使われる松葉ガニは、地元ならではの鮮度とボリュームが自慢。山陰名物の松葉ガニは隣の境港で水揚げされたものだ。鍋に入れるとぜいたくなだしが出て、カニの身もプリプリとして甘く、思わず無口になって食べてしまうおいしさ。「食材も今は年中出回っているものが多いが、できるだけ季節感を出したい」という、旬を大切にしている料理長のお気に入りの食材なのだ。
■島根県松江市朝日町四九三、0852・27・5900
◆エコ・デ・マーレ ランティーユベール
南フランスのレンズ豆。レンズ豆には大まかに小粒のもの、大粒のもの、白っぽいものの三種類があるが、これは比較的小粒のもの。実がしっかりしていて甘みがあり、香りがいいのが特徴。かといって、料理の味に影響するようなきつい香りはない。肉料理の付け合わせがオーソドックスだが、最近は魚料理に使っても違和感なく受け入れられるようになってきたそうだ。今回紹介した「ホタテ貝柱のグリル」にもよくあう食材のひとつ。
■香川県高松市新北町二九‐一五、087・837・2277
◆ビストロ・シェ・ラパン 福岡県糸島産牡蛎、ウズラと仔羊肉
食材は旬と地にこだわる神屋さん。この季節、生ガキは福岡県糸島産のカキを使用。一方、ウズラや仔羊はフランスから空輸している。肉類については骨はスープをとるなど丸ごと使うので、ウズラは羽根をむしった状態で取り寄せ、いったん熟成させたあと料理に使用する。フレンチでは定番のこれらの肉類は、日本、特に福岡ではなじみのない食材なだけに、食べず嫌いの人が多いが、「一度食べるとリピーターとなる」というほどのこだわりの食材だ。
■福岡県福岡市中央区舞鶴一‐二‐三三、092・715・0192