厨房のウラ側チェック(43)ここが大事な食品衛生法(その2)
前号では総論的にまとめてまいりましたので、ここからは各論的に必要と思われる条文を前号(その1)にそって説明いたします。
第二条「定義」においては、食品衛生法を読むための単語説明であります。ポイントになる単語は食品(すべての飲食物。例外は医薬品と医薬部外品)、添加物(食品の製造・加工・保存の目的で食品に添加等によって使用する物)、器具(食品に接触する物。例外は農業・水産業における食品の採取の用に供される機械、器具等。それに容器包装)。
第四条「不衛生な食品または添加物の販売等の禁止」とは、簡単にいえば飲食店がきたない食物をお客様に提供してはいけないことです。きたない食物は次の四つに分類されています。①飲食に適さない腐敗、変敗、未熟な物②有毒な物質が含有・附着している物。あるいは疑いがある物③病原微生物による汚染あるいは疑いがある物④不潔、異物の混入・添加の物。以上の四つの原因によりわれわれ人間の健康を損なう恐れがある物ということになります。
次に各分類にでてきた単語の説明をします。腐敗はタンパク質が劣化した物。変敗は脂肪が劣化した物。有毒な物質は食中毒の分類にある化学性、自然毒性食中毒の原因である物。病原微生物は人間に病気を起こさせる単細胞で単純な構造の顕微鏡的な生物をいい、細菌類、真菌類、原虫類、ウイルス類に大別されています。不潔は第三者であるお客様が思うことで、店側のジャッジではない。そして、それによりお客様の健康を害する恐れがある物。
以上のように第四条は幅広く押さえている条文であることがおわかりになっていただけたと思います。特に、二項と三号の「疑い」と一項から四項における「人の健康を害う虞れがあるもの」は、拡大解釈ができる条文と思われます。
第五条「病肉等の販売等の禁止」とは、厚生省令で定める疾病(牛疫、口蹄疫、狂犬病、炭疽、出血性敗血症、レプトスピラ病、ヨーネ病、ピロプラズマ病、白血病、馬伝染性貧血、リステリア病、豚コレラ、豚丹毒、トキソプラズマ病、ブルセラ病、結核病、旋毛虫病など)にかかったり、疑いがあったり、へい死した家畜の肉は食用としてはならないし、輸入してもダメということです。
食品衛生コンサルタント
藤 洋