コカ、ペプシのレストラン争奪広告戦争が激化
ニューヨークにある飲料コンサルタント会社のビバレッジ・マーケティング社によると、四八〇億㌦(約六兆二〇〇〇億円)市場といわれる清涼飲料業界の約二五%はファウンテン部門で占められている。
総販売高の四分の一、一兆五六〇〇億円は、びん、缶以外のファウンテン分野が占めている。同社の推計ではこのなかでコカ・コーラは六五%、ペプシコは二六%のシェアをもっている。
コカ・コーラ社は、米国内売上げの約三分の一をファウンテン部門で占め、ペプシコはおよそ二〇%という。
容器を必要としないファウンテン分野は、レストラン業界を頼りとして成長を続けており、一方、ファーストフード店では清涼飲料なしでは商売が成り立たない。
こうした共存共栄の図式があることから、コカ、ペプシともにレストラン店の争奪戦は日増しに強まってきている。
コカ・コーラ側はマクドナルド、バーガーキング、ウェンディーズ、ハーディーズなど大規模店網と契約し、ファーストフード店をしっかりと握っている。
ペプシコ側は、ケンタッキー・フライドチキン(KPC)を代表とする直営店網を傘下におさめていることから、レストラン経営のノウハウをもっていることが強味となっている。事実マリオット、ノルウェイ・クルーズラインや、映画館経営のナショナル・アミューズメントなどを得意先としている。
いかにしてレストランを味方陣営に引き込むか、コカ、ペプシコの二大メーカーは広告戦術に血道をあげている。それを物語るのが、レストラン専門紙「全国レストラン・ニューズ」の広告頁である。
コカ・コーラ側の広告‐‐「レストランでペプシを扱うことは、お店が乗っ取られる引き金になりかねません。その理由はタコベル、ピザハット、KFCなど二万一〇〇〇店以上のレストランを擁する世界最大のレストラン企業がペプシコだからです」
ペプシコ側の広告‐‐「ペプシはレストラン経営のノウハウを持っています。このことはコカ・コーラ側に言わせると、大きな影響を得意先(レストラン)に及ぼすと主張しています。確かにレストラン同士は厳しい競争を強いられており、私共の経験はお店にとって大いに役立ちます」
このような広告コピーが両社間で横行していることに対して、コカ・コーラ側は「清涼飲料メーカーがレストラン業界を論ずることは本末転倒であり、ペプシコの主張は筋が通っていないと非難している。
コカ・コーラ側は広告合戦を専門紙以外にも展開し始め、さらにソフトドリンクビジネスの常道として、レストランでの消費増を図るために、コカ・コーラは特大サイズのカップを用意するなど、レストランをめぐるファウンテンの戦略を拡大する一方だ。
(5月8日付ニューヨークタイムズ紙から)