飲食トレンド:ウケてますバジルピザ 波に乗るデリバリーピザチェーン

1997.03.03 122号 1面

登場からわずか一〇年で二〇〇〇店・一二〇〇億円の一大市場を築いたデリバリーピザ業態。一部で店舗の過密化が叫ばれているもののいぜんその勢力に衰えはない。むしろ、これまでに培ったデリバリーノウハウを特化して多角化に乗り出すなど事業意欲は極めて旺盛だ。ますます波に乗るデリバリーピザチェーンの現状と新戦略をのぞいた。

メニュー動向で顕著なのはクラスト、ソースの開発意欲だ。各社横並びだったトッピングのマンネリ化に終止符が打たれ、従来手つかずだった部分(クラスト、ソース)での差別化戦略が活発化している。

昨年からのクリスピーブームはその象徴だ。ストロベリーコーンズは四角のクラストを採用し前年比三〇%増を記録した。ドミノ・ピザ、ピザーラでもいまやクリスピーがオーダー構成比の過半数に達する勢いという。ピザハット、アオキーズはチーズ入りクラストを打ち出し好感触を得ている。こうしたクラストの開発機運は今後ますます高まりそうだ。

また、クリスピーブームにともないソース開発も過熱している。クリスピーだとソースの味をアピールし易い。そのため“ソースで食べる”新感覚のピザが打ち出せるというわけだ。先べんをつけたドミノ・ピザのバジルソースピザは近年まれにみる大ヒットを記録、成果の現れか昨年暮れには赤坂店で日商四七〇万円の快挙を成し遂げている。

クラスト、ソースの開発に並び経営の多角化も目立つところだ。

顧客リストを活用した通販に注力しているのはドミノ・ピザだ。昨年から季刊のカタログ通販をピザのデリバリーに便乗して販促しているが、テスト展開の結果は上々の模様で4月から本格化する見通しである。ピザーラは一個一〇〇〇円前後のプレミアムハンバーガー「クア・アイナ」のチェーン事業を4月からスタートする。ハワイで大人気のハンバーガー店と提携したもので、かねて課題としてきたスタッフの高齢化対策や既存ノウハウの応用対策として期待している。

デリバリーの多角化に乗り出しているのはピザ・ウイリーだ。このほどピザ・ウイリー(ピザ)、膳(弁当)、大漁寿し(すし)、香港エキスプレス(中華)、プリモピアット(イタリアン)のデリバリーを一括した新業態「宅配スクエア」なる総合デリバリー店を船橋市にアンテナ出店した。ストアブランドはそれぞれ分けたが、スタッフ、厨房、バイクなどは共有化。多様化するデリバリーニーズに対応することで月商二〇〇〇万円をもくろんでいる。本年中に二〇店舗を出店する見通しだ。

ピザ・カリフォルニアはSS(ガソリン・サービスステーション)との複合店化や、ロードサイド店の新規出店に積極的。この4月からは牛乳配達の試験展開を始めるなどユニークな戦略は盛り沢山だ。

いっせいにスタートを切った各チェーンの新機軸のなかで、もっとも注目されそうなピザ・カリフォルニアの戦略を追った。

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