飲食トレンド:主婦で賑わう惣菜市場、急伸する中食ニーズ
こう着状態の外食市場をしり目に、中食(惣菜)市場が元気だ。共働き家庭の増加、高齢化社会の到来、そして所帯の小人数化に拍車がかかるなか、家庭内調理は減少の一途にあり、食の外部依存の受け皿として、中食ニーズが急速に強まっている。そんな中食を「コンビニエンスストア」「スーパーマーケット」「百貨店(専門店)」に分類し、市場動向を追った。
◆CVS惣菜 肉、揚げ物から野菜、魚に変化
各チェーンの競争力増強に最も効果的なのは、惣菜を含めたFF(ファストフーズ)強化といわれている。全般に実質的で地味な単品ものが多いなか、彩りが鮮やかで内容が充実したセットものや、多種類の具材を使った商品が目立っている。
従来は肉素材のメニューや揚げ物が品揃えの中心で、売れ筋でもあったが、消費行動の変化に伴い野菜や魚などヘルシーイメージの素材を使ったものが台頭している。洋惣菜については、他業態と比べ品揃えが貧弱で、スナックとサラダに限定されている状況だ。
◆スーパーマーケット惣菜 手作り、無添加、有機に強い支持
単身者需要の多いCVS商品に比べ、量目は多めで低価格なのが特徴だ。消費者心理を反映した開発を行い「手作り」「天然だし使用」「無添加」「有機野菜使用」などを表記した商品が浸透している。
客層の主体は主婦で、メーンのおかずを自分で作り副菜的商品を買い求めているようだ。ただ、揚げ物調理を嫌う主婦も多く、これらをスーパーに求める傾向は依然根強い
。また高級スーパーでは、品質、価格とも百貨店と同等かそれ以上の高レベル商品を提供しているケースが多く、店舗売上げへの貢献度は高い。
◆百貨店(専門店)惣菜 手軽に楽しめる有名専門店の味
百貨店惣菜のテナントを大別すると料亭・レストラン・ホテル、惣菜専門店、生鮮専門店の三タイプで構成されている。料亭などのものはもっとも高価格だが、有名店の味を手軽に楽しめるとあってOLや中高年などの女性に人気が高い。
惣菜専門店のうちとくに海外の高級食料品店も同様で、実際に現地で体験した味の再現を求める固定客に支持されている。生鮮専門店では素材に対する技術や知識を生かして加工した点、高品質の割に値ごろ感がある点が幅広い層に受け入れられている。