中埜酢店、「はるさめ」「くずきり」タイ工場産品発売

粉類 1997.02.12 8165号 10面

(株)中埜酢店(本社=愛知県半田市、0569・21・3331)では、東南アジア初の生産拠点であるタイ工場(ナカノタイランド(株))で「はるさめ」「くずきり」を生産し10日から発売(一部既報)した。業界生産、取扱量の七割強は関西地区のメーカーで占めらているが、ミツカンの海外生産での国内販売に対して注目している。

はるさめ市場の年間消費量は約一万七〇〇〇t、販売高は約一〇〇億円と推定されているが、ここ数年の状況としては、商品的には葛きり、マロニーなどの非冷凍製品と輸入品の緑豆はるさめが伸び、従来からの一般はるさめが減少という傾向が続き、全体としては微増という状況のなかで、ブランド格差が大きく拡大していた。また、一時期は激しいメーカー競合で市場は乱れて採算悪市場に見舞われたが、ここ数年は安定し、消費も用途の拡大もあって上昇線にあるというのが現状である。

メーカーの状況としても、森井食品(株)は葛きりの生産体制を確立するとともに、中国山東省招遠市に緑豆はるさめの工場を開設、品質チェック、選別、包装と緑豆の取扱いは年々拡大、他を圧倒する体制が確立。マロニー(株)はブランド・商品力で全国区、市場への配荷率は抜群で、チルド製品の伸びは大。フクイ食品(本社=御所市)は一般はるさめ(冷凍法)生産ラインを拡充して、この部門ではシェアは高く、関西地区における「サラダはるさめ」の量販店シェアはトップ、また緑豆の取扱い量も多い。

以上三社とミツカンの四社で全市場の八割を占めているとみられる。

このたび発売したミツカンの製品は、同社が開発した真空麺帯製法(非冷凍)という、原料の澱粉を小量の水と混合の後、真空にして気泡を除去、ローラーでじっくり圧延。蒸煮・冷風冷却して麺線カットし、熱風乾燥する方法(製法特許出願中)。

製品の特徴としては、気泡がないために、乾燥時、湯戻し後も透明度が高く、細いわりに歯ごたえと歯切れがよい麺質。現在市販されている森井食品、マロニーの製品は、麺線に無数の気泡があり、気泡があるために味の吸収がよく、どんな調味にもマッチするというのが特徴で、気泡の有無が大きな違いといえる。

いずれにしても、この業界で地味な市場ではあるが、和・中華・洋風各料理の素材として使用され、徐々に拡大していることは確かで、ミツカンの新商品に対する評価と、市場の展開が注目される。

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