記者憂楽帳=心の緩衝地帯
以前よく通っていた居酒屋が取り壊され、カラオケボックスに変わってしまった。人当たりの良い初老の夫婦二人だけで切り盛りをしていた何の変哲もない店だったが、まるで親父やおふくろと一緒に居るような家庭的な雰囲気が結構気に入っていた。 薄汚れた赤ちょうちんだけが目印の、看板すら出ていないその店の客はと言えば、背広姿の者はあまり見受けられず、ジャンパーや作業着を羽織ったサンダル履きの人達がほとんどだった。間違っても若い男女がグラスを傾けながら、愛を語り合うような
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