現代版「湯治」のすすめ いまの私をリセットできる温泉は? 植田理彦氏に聞く

2004.04.10 105号 2面

どこかに遠出するのに、いい季節になってきた。旅といえば温泉は定番。けれど私たちの温泉旅行は、観光スポット巡りやグルメがセットだったりとあわただしく、疲れをもらいに行くことも。身体も心もリセットされ、また新しく日常生活に戻ることができるような、そんな昔ながらの「湯治」のスタイルを見直したい。

しかるべき条件を満たした全国の温泉宿を「現代の湯治場」として、「温泉療養学」を研究・推進している(社)民間活力開発機構を訪ね、植田理彦・温泉療養システム研究会会長に話を聞いた。

慢性疾患の補助的治療に、温泉が薬や外科的療法の及ばない効果を発揮することは少なくありません。特にストレスから起こる病気に有効であることが立証されています。

「湯治」は、栄養・運動・休養の健康作りの三要素を経験的に実行し、一年間に溜まったストレスから確実に解放され、健康を取り戻すという昔の人の知恵です。そこから発展し、温泉地はいま、進歩した科学の成果を生かしつつ、時代の要求にあった「現代湯治場」として生まれ変わりつつあります。

温泉はなぜ、身体にいいのか。(1)温泉が湧き出る土地の自然環境、(2)温泉水に含まれる化学成分の薬理作用、(3)温泉浴による湯の物理的作用‐などが総合的に身体を刺激し、人間が本来持っている自然治癒力を高めるからです。

温泉地に滞在すると、この総合的な刺激が身体に作用してストレスで乱れた自律神経系、ホルモン分泌系、免疫系などが整えられ、病気の方に傾いた体調が健康状態へと戻されるのです。そのように温泉の効能を発揮させるためには、一人ひとりが体調に合った温泉地を選び、滞在中のプログラム・スケジュールを作り、入浴・食事・運動に気を配らなくてはなりません。

●頼れる温泉療養アドバイザーに相談!

(社)民間活力開発機構の「温泉療養アドバイスセンター」には、温泉療法医などこの分野に詳しい医師・専門家で組織した、全国418人の温泉療養アドバイザーが登録されている。一覧は、『温泉療養の手帖』に記載。

アドバイザーには必ず電話予約の上、健康保険証を持参して直接相談する。

「温泉療養指示書」を持参すると、個人の症状になった温泉療養・食事・運動の方法が指導してもらえ、現場で活用できる。

詳しくは(社)民間活力開発機構 電話03・3543・8777 または HP http://www.minkatsu.or.jp/onsen/

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