百歳への招待「長寿の源」食材を追う:アスパラガス
中国語で「芦笋」と書いてルー・ソンと読むが、アスパラガスのことである。ユリ科天門冬に属する多年草である。この科にはニンニク・ニラ・アロエなど薬効の高いものが多くみられる。
歴史の古い中国では珍しく、原産地ではない。南ヨーロッパで紀元前から栽培されていた記録がある。シベリアを経て、黒龍江沿岸に入ってきたものと思われる。日本には一八世紀後半にオランダから長崎に伝えられたが普及せず、広く栽培されるようになったのは明治以降のこと。現在、アスパラガスはヨーロッパ・アメリカ・日本を始め東南アジア各国でも産出され、特に台湾では量産が進む。一九七六年以降、中国でも十数省で栽培と研究が進められてきた。
アスパラガスの地下茎は枯死することなく春に根部から太い若茎を発生する。これを食用とするが、彩りは美しく、甘味とともに独特の風味がみられ、欧米人の好むところで世界一〇大名菜の一つに数えられている。単に味が良いばかりでなく、中国では薬食としての研究が進められ、高血圧・心臓病を始め疲労・水腫・膀胱炎・排尿困難などの場合に卓効のあることが判明した。
特にアメリカではアスパラガスの持つ特性に着目し、がん細胞の拡散防止効果のあることが発表された。特にリンパ種肉芽腫瘤・膀胱がん・肺がん・皮膚がんなどに特殊の療効があるとされている。
このアスパラガスの属する天門冬は極めて有用な薬草で、天門冬素(アスパラギン)を多く含んでいる。この薬理作用は大きく
抗菌作用…対炭疸桿菌・肺炎双球菌・枯草桿菌などの抑菌作用
抗腫瘤作用…急性淋巴細胞型白血病
ほかに大きな効用のあることは古くから知られ、薬酒や薬粥に利用されてきた。
アメリカの防がん・抗がんに効果的であるとの発表をうけて、中国では、さらに研究が進められ、アスパラガスの持つ作用は広範なもので、食欲不振・全身倦怠・タンパク代謝障害・肝機能障害を始め動脈硬化・神経痛・視力疲労・高血圧にもよいことを発表している。特に白血病に効果の高いことは全世界の認めるところとしている。
中国ではアスパラガスの生産や研究を始めてわずか二〇年あまりであり、驚くほどの薬効が次々と発表されてきたが、防がん・抗がんの研究はアメリカに一歩先を越された。従って中国国民に対し、がんの重要性を説くとともにお年寄りの食養・食療という書籍に、
防がん食品として
(1)アスパラガス(2)ニンニク(3)ユリ(4)シイタケ(5)トウモロコシ(6)昆布(7)キウイ
をあげ、効果の高い一番目にアスパラガスを推している。
食べ方としては、炒める・あんかけ・揚げもの・煮こみをあげているが、日本ではボイルしてサラダが一般的といえよう。