台風19号に備え消費者は何を購入したか 「育児用ミルク」販売数量が4倍に

総合 ニュース 2019.11.18 11972号 01面

東日本に甚大な被害をもたらした台風19号。10月12日夜から13日未明にかけて東日本を通過し、関東、甲信越、東北地方に記録的な大雨や河川の氾濫による浸水被害をもたらした。気象庁は最大限の警戒を呼び掛け、東日本を中心に、超大型台風に備える動きが10月第2週後半から始まった。

本紙では、KSP-POSデータを基に、記録的な災害に備え、消費者がどのような加工食品を購入したかを調査した。首都圏の週次データ(10月7~14日)の前年同期販売数量増加率が最も高かったのは、「育児用ミルク」で(390.9%)、次いで「畜産缶詰」(269.3%)、「水産加工品」「水産缶詰」「水」「調理済みカレー」「カップ麺」「米飯加工品」の順となった。

「育児用ミルク」は、乳児にとって絶対に欠かすことができないため消費者の購買行動の優先順位上位に上がったとみられる。「畜産・水産缶詰」は、水と熱源を必要とせずそのまま食べることができることに加え、備蓄品としての認知が高いことが購入理由のようだ。「調理済みカレー」「カップ麺」「米飯加工品」についても、比較的に長期保存が可能で、利用度が高く家庭用ストックとして活用できる点が購入動機につながったようだ。

即食性が高いパンの販売数量が、首都圏の菓子パンでも110%弱にとどまった要因を、大手製パンメーカーの担当者は、店頭での消費者の購買行動に「備蓄」という意識が働いたため、消費期限の短いパンよりもカップ麺、包装米飯などを選択したためと分析。店頭で棚からすべて商品がなくなった現象については、日配品であるパンは、店舗の在庫がないためとし、「ほぼ毎日夜に棚は空になっており、その時間が早まった」とした。さらに、13日は店舗への配送便を1便に減便したことも影響したようだ。

一方、パンの売場が空になったことで、消費者は、ホットケーキなどプレミックスやシリアルなどを購入したとみられる。いずれにしても、瞬発的な販売増も家庭内ストックとなり、10月から11月までの実績でみればカテゴリーの差はあるがほぼ吸収されている。

毎年のように大規模自然災害が発生する中、自然災害の多発を異常事態としてではなく、通常状態とすることを前提にしたマネジメントが必要だ。多品種少量生産から転換し、商品SKUの見直しを図り、集約化を進めることで、災害発生時の製造面や営業面の動きをスムーズにし、災害発生時でも素早く対応可能な体制を構築することなどが求められそうだ。(青柳英明、久保喜寛、佐藤真澄)

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