イオン、ウナギの予約シフト推進 100%トレースへ前進
イオングループで土用の丑(うし)に向けたウナギの展開が本格化している。イオンリテールでは5月末からWebの予約を開始、約1ヵ月間の注文件数は前年の2.5倍という。コロナ禍の下、店頭での接触機会を減らすため、グループカードによるクレジット決済のポイントを5倍付与するなど、ネット促進策を展開した。予約の売上構成比は昨年が約30%、今シーズンは40%を目標とする。
イオンは、23年までに取り扱うウナギ全量のトレーサビリティー構築を目指している。19年には静岡県で稚魚(シラスウナギ)の採捕から養殖、加工までの完全トレーサビリティーを実現した商品を発売したほか、参画するインドネシアの保全プロジェクトからは「トップバリュグリーンアイ」として蒲焼を商品化している。中国での体制構築も進み、全体の4割で完全トレースを実現している。
残り6割は静岡県を除く国産ウナギで、とりわけシラスウナギの採捕から養鰻場に入れるまでの流通段階に課題を残す。ただ、環境・社会貢献・PR・IR担当の三宅香執行役は、国内の管理体制も急速に改善しているという。
「シラスウナギの流通段階、養殖段階のそれぞれで事業者の団体が管理体制を整えるようになり、完全トレースではないものの、かなりの程度まで追えるようになった。養殖業者のシラスウナギ池入れ量は上限が決められており、今年は豊漁のため初めて漁の期間中に採捕を打ち切るなど、資源管理も機能している。ウナギ取り扱い方針の策定は16年ごろから本格化したが、当時の状況とは大きく変わった。資源管理の国際水準とまではいかないが、ステップアップはしている。さらに流通段階をさかのぼり、関係者の協力を得る必要がある」(三宅執行役)
なお、シラスウナギの流通段階では日本シラスウナギ取扱者協議会が18年11月に設立、養殖業者によって14年に設立した全日本持続的養鰻機構との連携が進んでいる。シラス流通段階の川上にあるシラス採捕者は、国内採捕者と輸入者に分かれている。(宮川耕平)