シリアル市場大幅伸長 健康意識高まり再評価

売場のアイテム数も増加傾向にある

売場のアイテム数も増加傾向にある

 コロナ禍の20年、シリアル食品市場は大きく市場を拡大した。インテージ社がSRI(全国小売店パネル調査)に基づき発表した「2020年、今年売れたものランキング」でシリアル食品は、前年比20%増と大幅に伸長し29位にランクインした。同調査は食品・飲料・日用雑貨品などが対象で、食品カテゴリーに限ると上位でのランクインとなる。コロナ禍による在宅傾向の高まりを背景に内食化が加速。さらに、健康に対する意識がさらに高まったことから、簡便で保存性が高くおいしさと栄養バランスの良さが再度評価されたことが要因だ。(青柳英明)

 シリアル食品は、コメ、パンに続く朝食としての存在感を高めながら、おやつなどの間食需要も獲得した。さらに、これまで一部に根強い人気があったが、一般的ではなかったオートミールが注目されるなど、次なる成長の芽となる動きも出始めている。

 「ごろっとグラノーラ」や「シスコーン」を展開する日清シスコの豊留昭浩社長は、今年4月の段階で、コロナ禍の消費状況を(1)巣づくり(2)巣ごもり(3)巣立ち(半巣ごもり)–の3段階でステージが変化すると予測。2~3月の「巣づくり」の時期は「備蓄目的の買いだめ」が主で、その後、小売、卸、メーカーの努力で食品の購買に問題はないと消費者が気付いて以降は「現在必要な商品を買う」に変化しており、「ニューノーマル=新しい日常」下では、環境変化に適応できた商品が消費者に認められると指摘。さらに在宅勤務がニューノーマル化して食の家庭内需要増に比例し、シリアル需要も高い水準で推移するとの見方を示していた。

 この分析が正しかったことを示すデータがある。KSP-POSデータによる、20年のシリアル月別販売金額伸長率は、3月約32%増、4月約40%増、5月約36%増、6月約16%増、7月約13%増、8月約25%増、9月約16%増、10月約7%増、11月約15%増と、いまだ高い水準で推移している。また、12月も巣ごもりの状況が続く見込みで高い水準を示すことが予想される。コロナ禍で2月以降市場が拡大したものの、緊急事態宣言解除後は、落ち着きを取り戻した他の菓子カテゴリーとは一線を画す動きとなった。21年もシリアル市場の拡大傾向は続くことが予測される。

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