アポなし!新業態チェック(164)「カフェ イタリアン・トマト」イオンタウンふじみ野店

2021.04.05 506号 11面

 ●老舗「イタトマ」が新業態を出店 斬新な店舗デザイン、メニューは既存を流用

 昨年11月、キーコーヒーの傘下にあるイタリアントマトが新業態の「カフェ イタリアン・トマト」をオープンした。

 同店が出店したのは、埼玉県ふじみ野市に新しく開業した商業施設「イオンタウンふじみ野」の1階フロア。施設の中央入口の脇、広い通路に面してオープンカフェのように開放された店舗は、木目調の素材を多用したインテリアや新しいロゴマークなど、現代のチェーン系カフェを意識したデザインにまとめられている。欧州風のテイストを取り入れた家具や食器、駐車場に面した屋外のテラス席など、従来よりも“イタリアン”の雰囲気を重視した新店舗となった。

 同店の営業スタイルは既存の「カフェジュニア」ブランドと同様にセルフサービスであり、提供するメニューも既存の「イタリアン・トマト」のアイテムを中心とした内容になる。ドリンク類は、レインフォレスト・アライアンス認証農園産のコーヒーのみを使用した「ホームブレンド・コーヒー」(Sサイズ230円、Mサイズ250円ほか)をはじめ、オーソドックスな品揃えだ。フードメニューは「カルボナーラ」(650円)、「モッツァレラチーズのトマトクリームソース」(630円)などのパスタを中心に、「ホットドッグ」(240円)など幅広いカテゴリーを取り揃えた。「いちごのショートケーキ」(600円)や「かぼちゃのプリン」(380円)といった定番のケーキはテイクアウトにも対応する。毎月、限定のフードとドリンクを提案するなど、さまざまな試みも打ち出している。

 (価格は税抜き)

 ★けんじの評価 ブランド再生に望まれる魅力ある新商品

 「イタリアン・トマト」は1970年代の後半に生まれたカジュアルレストラン。フランチャイズ店舗を展開して「イタトマ」と呼ばれ若者を中心に人気を集めた。86年にナムコの傘下となり、95年からはセルフサービス業態の「カフェジュニア」をキーコーヒーと連携して展開、全国に拡大した。2005年からキーコーヒーの連結子会社となっているが、バンダイナムコホールディングスの子会社でもある。

 同店が出店した「イオンタウンふじみ野店」は、小型低層の施設が多い「イオンタウン」の中では比較的大きく、3フロアに約90のテナントを集めている。ネットスーパーで購入した商品を車に乗ったままで受け取ることができるドライブスルー型のピックアップ専用レーンや、コワーキングデスクと地域コミュニティーの交流スペースなどを導入し、同ブランドとしては次世代型と位置付けられた新店だ。

 こうした施設の性格から、今回は従来型の「カフェジュニア」とは違った新ブランドの出店を望まれたのかもしれない。最盛期は350店舗以上を展開していた同社だが、ここ10年ほどの間にかなり店舗数を減らしている。今回の店舗は、デザイン面などで新しいスタイルを打ち出してはいる。しかし、飲食店としてのメニューは既存の路線から脱していない。かつて、「イタトマ」がアメリカンスタイルの大ぶりなショートケーキで若者の心をとらえたように、オリジナリティーのある魅力的な商品がまた生み出されることを期待したい。

 ◆外食ジャーナリスト・鷲見けんじ=外食チェーン黎明期から、FFやFRなどの動向を消費者の目線で見続けてきたアンチグルメな庶民派ジャーナリスト。顧客の気持ちを外食企業に伝えるべく、甘口辛口を取り混ぜた乱筆乱文でチェーンの新業態をチェック。朝マックとロイヤルホストのカレーフェアをこよなく愛する外食ウオッチャー。

 ●店舗情報

 「カフェ イタリアン・トマト」イオンタウンふじみ野店

 開業=2020年11月21日/所在地=埼玉県ふじみ野市福岡2-1-6 イオンタウンふじみ野1階

 編集協力:株式会社イートワークス

 http://www.eatworks.com/

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