サントリー、ビールタイプの発泡酒「ホップス〈生〉」20日から静岡県で発売

酒類 1994.10.10 7775号 2面

サントリー(株)(東京都港区、03・3470・1104)は、麦芽とホップを主原料としたビールタイプの発泡酒「ホップス〈生〉」を開発、20日から静岡県で発売する。三五〇ミリリットルと五〇〇ミリリットルの缶入り二種類があり、希望小売価格はそれぞれ一八〇円、二五〇円と通常のビールに比べて四五円ずつ安い。

「ホップス〈生〉」は、ビールと同じ麦芽と副原料、ホップを使用し、ビールと同じ製法で作って、苦味と爽快な香りを引き出した新ジャンルのアルコール飲料。

アルコール分も五%(雑酒は一%刻みで表示)と高く、ビールファンだけでなく、チューハイ愛飲者など幅広い層に受け入れられる品質と価格設定にした。

酒税法上、麦芽使用率が原料の三分の二(六七%)以上のものをビールと規定している。通常のビールは麦芽使用率が七五%から一〇〇%のものまで様々なタイプがあるが、「ホップス〈生〉」は麦芽使用率が六五%のため、酒税法上は発泡酒に区分される。これにより酒税が三五〇ミリリットル缶で約二五円、五〇〇ミリリットル缶で約三五円安くなった。また、様々なコストを見直すことで、より一層価格を抑えることに成功している。

年内販売目標は五万ケース。販売動向をみながら順次全国に拡大したい考え。製造は武蔵野ブルワリー。

酒税を意識し開発

《解説》ビールメーカー各社は、競争が激しいことから新製品開発にしのぎを削っているが、より良い製品をより安くということを考えていく場合、販売コストの約四割を占めている酒税も、当然視野に入れて開発が行われている。今回の新製品はそういった中で、明確にその酒税を意識して開発されたわけだ。

通常、麦芽量を減らすとビール独特のコクや風味が薄くなってくるが、「ホップス〈生〉」は醸造工程での麦汁濃度を上げ(水の割合を下げて濃くする)麦芽量を減らさずに醸造するという、まさに「コロンブスの卵」的発想で、ビール味を確保しながら酒税を軽減することに成功した。ただ、副原料の割合も増えてしまうため、味がスッキリ・爽快タイプにはなる。同品は二年前から開発を進めてきた製品。

なぜこの時期に出てきたかということであるが、今のビール市場が安い輸入ビールに注目が集まっていること、また量販店に比べてCVSや一般酒販店が、安売りしづらいという環境があるため、その対抗措置として、リーズナブルな価格の商品を投入する必要がある、と判断したためと思われる。

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