林原商事、11月から高純度含水結晶トレハロース、トレハオース発売

菓子 1995.10.18 7945号 2面

【岡山】林原グループの販売部門である(株)林原商事(本社=岡山市、086・224・4312、林原健社長)は、でんぷんから直接作られた非還元性二糖類である高純度含水結晶トレハロースを工業的に大量に、しかも安価に提供できる技術開発が確立できたことから、商品名「トレハオース」で11月1日から全国一斉に販売を開始する。製造はグループの製造部門を担当する(株)林原(本社=岡山市、086・224・4311)。

林原では、このたびの本格販売開始に先立ち、約一年間にわたってトレハロースの特性や各種の用途、その市場性について国内各分野の代表的な大手食品メーカー、研究機関など約六〇社の協力を得て、共同研究を進めてきた結果、従来いわれてきた各種の優れた特徴を確認するとともに、新たな幅広い分野における利用用途のメドがついた。

商品名「トレハオース」はトレハロース純度九八%以上の含水・高純度結晶粉末品で、本来的に他のでんぷん糖にはない良甘味質や安定性など多くの特徴を有する“砂糖に匹敵する素質のある”安定度の高い新しい糖質であることから、林原商事では、同品を今後の最重点品目と位置づけ、国内のみならず海外も含めて各分野に向けて積極的に販売を開始する。その価格は従来のほぼ一〇〇分の一近くの一キログラム当たり三五〇円(末端ユーザー工場納入価格)、また海外市場向けの価格(FOB港渡し)も同じ一キログラム当たり三五〇円。

「トレハオース」の特性は、(1)非還元性なので、アミノ酸・タンパク質との共存下で加熱しても褐変反応を起こさないため、加熱処理や高温保存を伴う食品や飲料などに適する(2)甘味度は砂糖の四五%で、甘さが後に引かず砂糖以上に上品で温和な甘味質を持つ(3)耐酸、耐熱性に優れた安定した糖質で、着色や分解がない(4)結晶性が良い(5)相対湿度九五%まではほとんど吸放湿しない安定した糖質であるため使いやすい(6)ショ糖やマルトースなどと同様に小腸で消化・吸収され栄養源(エネルギー源)となる(7)歯に悪影響を与えにくい抗う蝕性を持つ(8)でんぷんの老化防止の抑制効果が高い(9)冷凍・冷蔵時あるいは乾燥時のタンパク質変性防止に優れている‐‐など。

「トレハロース」の持つ幅広い特性から甘味料、調味料、和・洋菓子、ペースト類、びん・缶詰、清涼飲料水、冷凍食品、乾燥食品などの多方面の食品分野で、砂糖や他の甘味糖質あるいは一部の糖アルコールの市場に匹敵するほどの極めて幅広い用途が期待されている。食品分野のほか、花や野菜の栄養剤や家畜・養魚の飼料分野さらに塗料・樹脂の改良剤、塩化ビニールの安定剤および界面活性剤などの工業分野にも積極的に紹介していく方針。

製造面では、(株)林原岡山第一工場(岡山市)内に約一〇億円を投資して「トレハオース」の工業用生産設備を設置した。生産能力は11月から月産三〇〇tペースでスタートし、次の段階で同一〇〇〇t以上のペースにのせる。さらに販売状況に合わせて、生産能力の増強を行い、早い時期に同三〇〇〇t以上のコンスタントな製造を目指す。なお、初年度の販売目標は一万t(売上げ金額三五億円)を見込んでいる。

(株)林原商事・金刺孝一常務の話 トレハロースを昨年10月、大量にして安価に提供できる技術を開発して以来、ちょうど一年が経過し、「トレハオース」の商品名で11月から発売する運びとなった。トレハオースは単なる新製品としてではなく、たいへん思い入れの深い超大型商品と考えている。また、トレハオース自体は砂糖、異性化糖、糖アルコールがそれぞれ持つ良い特徴を備えているだけに大きな期待をかけている。特性や用途開発の研究結果によると品格では砂糖を超えた味覚はこの商品が初めてだという評価を得ている。トレハオースを利用した商品が数多く開発され、市場に定着することを期待している。

また、結晶「トレハオース」と並行して生産可能な、トレハロースとグルコース、マルトースを含有する新しい糖液「トレハスター」も、とりあえず月産三〇〇t程度からスタートし、価格的にも現在の酵素糖化水飴に十分に対抗できるほどの安い価格で同時発売する。

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