話題を追って やせる石けん「燿耀(ようよう)」の真相

1995.10.10 1号 7面

大ヒット商品はもはや生まれないという神話を崩して、年齢にかかわらずすべての女性から熱い視線を洛びた最近の注目商材といえば、ダイエットに効果があるという深海の海藻入り中国産石けん「燿耀(ようよう)」だ。あまりの市場過熱の状況の中、薬事法表示義務違反の業者まで現われて、そのニュースがさらにブームに輪をかけた感もある。

輸入石けんは、届けとしては基本的に化粧品だ。洗浄効果以外の効果・効能はうたってはいけない決まりとなっているが、平行輸入業者が現地で流通している物を直接取り寄せた製品には、箱裏面の英文説明書きに「ディファット-やせる」の文字が入っていた。これが日本の法律において問題となったわけだ。現在国内のマーケットに流通している「燿耀石けん」は、薬事法に違反しない様、基本的にパッケージを作り変えた物に限定されている。

しかし法律はともかく消費者として気になるのはこの石けんが本当にやせる要素があるのかないのかという点だ。そもそもこの商品がこれだけ爆発的ヒットとなったのは何がキッカケかというと、まずは(1)昨年末、日航のスチュワーデスが口コミで広めたことから始まり、(2)某女性タレントがTV番組で自分が使っての大変な効果を披露したことでさらに注目を集め、(3)初夏頃、某週刊誌に中京女子大学教授の実際にやせる効果を上げた実験結果が掲載されたことで本格的に火がついたとされている。

そこで本紙では、その中京女子大学・朝山正己教授に問題の実験周辺についてもっと詳しい情報を聞いてみた。開口一番、「こんなに大変な反響になると思っていなかったのですが」と謙虚に前置きした朝山教授、実験をスタートした経緯と方法について次のように話してくれた。

「去年の秋頃、知人から世の中にあまり知られていなかったその中国産石けんについて調べてくれという依頼があったんです。肌に直接つける物なのでまず副作用のようなトラブルがないかプレ実験で調べ、これをクリアしたので12月末から体育学部の三年生一〇名を対象に三カ月の実験を開始しました」。入浴時に通常の石けんに変えてこの石けんを用いるという以外、とくに他の条件はなし。使用前、一カ月後、三カ月後の三回、A上腕部背部、B背部肩甲骨下端、C腹部へそ左五cm、D骨盤上一〇cm-の四カ所を皮下脂肪計で測定した。

さて、三カ月後、一〇人中八人の学生から得られたデータ結果だが、なんとAがマイナス二・三mm(一二・二%減)、Bがマイナス〇・八mm(五%減)、Cがマイナス四・二mm(二二・一%減)、Dがマイナス四・一mm(二四・四%減)-と軒並みハッキリと皮下脂肪が減少したことが数字に表われた。八人中サイズが全く変わらなかったのは一人のみ、残りの七人は数値のバラつきはあるもののそれぞれ減少がみられた。

とくに顕著だったのはお腹の前の郡分であるCと横っ腹部分のD。Dについては実験上、明らかに違いが認められるラインの有意差(五%の危険度で)にまで達している。男性の読者にとってはこれがどういう意味なのかよく分からないかもしれないが、女性にとってはウエスト周りのお肉が四mm以上もへこんだというのは驚くべき事実。また面白いのは使用後一カ月では全員ともまるきり効果が表われず、三カ月後になって初めてみえ始めた点だ。

しかし肝心のなぜこの石けんを使うと皮下脂肪がとれるのかということについては、朝山教授にもハッキリ説明できないのだそうだ。「特別な石けんを使ったことで意識的に念入りなマッサージが行なわれた、数値を測定していることでやせようという大脳刺激のマインドコントロールがあったなどの理由もあるだろう。光合成が全く行なわれない深海の海藻に、何か油と水を引き離す界面活性効果促進成分があるのではという本来の要因も、可能性としてはあるが」。ここまで係わった責任上、ちゃんと成分を分析しろという世間の要望に応え、朝山教授は現在作業を進めている最中という。

「健康的な体形は本来、バランスの良い食事と適度な運動によってのみ粧持できる。安易に石けんに頼るなんてダメですよと警告を促すつもりで始めた実験なのですが」と苦笑いする朝山教授。成分分析も気になるところだ。