噛めない噛まないは万病のモト

1995.11.10 2号 12面

育ち盛りの小犬の乳歯を片側全て抜いて飼育すると、頭やあごの骨は噛んでいる側ばかりが発育し、約半年で鼻曲がりの変形した醜い顔の犬になるという。

これは人間も同じで、噛めないことは身体のずれや胃腸障害をひきおこし、めまい、成人病、はてにはがんをも併発しやすくなる。

よく噛むことは、消化にいい、ぼけ防止といわれるが、それは唾液をたくさん出すことによる効果。唾液はムチンというムコ多糖類のたんぱく質やヒアルロン酸・ロンドロイチン酸を多く含み、口や食道の粘膜保護と修復を行っている。また、唾液に含まれるパロチンというホルモンが、歯や骨や筋肉を丈夫にして老化を防止、リゾチームは雑菌を抑え、ラクトペルオキシターゼは発がん物質を減弱させるという。魚の焼け焦げを気にするより、よく噛むことが大切だ。

穀物や芋が主食で野菜が副食、果物や木の実がおやつという「日本型食生活」が、肉・加工食品・チョコレートに代表される高タンパク・高脂肪の「欧米型食生活」に変化したため、肥満・高血圧・がんといった成人病が増加したといわれている。それだけではない。食生活の欧米化は、噛まない食習慣を生み、噛めない現代人を増やした。最近では顎関節症などの新たな病気も現われている。

日本咀嚼学会では噛むことの重要性を提唱、それに賛同した「噛む健康食品」も開発されている。

「噛むこと」の8大効果

1.歯並びを美しく整え、歯を強化する

2.胃腸強化

3.味覚の発達

4.病気の予防

5.頭脳の発達

6.肥満防止

7.言葉の発音を良くする

8.全身の健康維持

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