魚発見 もっと食べよう! 魚の新知識 タウリンは魚だけに多量に

1995.12.10 3号 2面

島国の日本は世界一の魚好きといわれていた。しかし昨今、食の欧米化により現在では魚離れとまでいわれている。肉も魚もバランス良く食べることが第一の基本。そこで心配すべきなのが魚を食べ慣れていない人たちの食生活だ。一般的に現在のシルバー世代は若い頃から魚介類を多く食べて育ってきた。しかし年代に関わらず、外食、ファストフードを含め肉類を多く食べて育ってきた人たちが魚を食べる食生活をスムーズに受け入れられるだろうか。

近い将来「健康のため」という理由で魚を食べることを推められた時のために、魚をもっとよく知り、おいしく食べ始めよう。

Q 動脈硬化を予防してくれる魚があるそうですね。

A はい、あります。魚介類の多くはタウリンという遊離アミノ酸を持っています。タウリンの薬理効果は、

☆血液中のコレステロールを減少させる。

☆強心作用がある。

☆肝臓の解毒能力を強化する。

☆不整脈を改善する。

☆血圧を正常にする働きがある。

☆アルコールによる肝臓障害の予防効果がある。

☆コレステロール系の胆石を溶かす。

☆インスリンの分泌を促進し、糖尿病の予防に効果がある。

☆視力の回復に役立つ。

‐‐などです。

タウリンを多く含む魚介類はマグロ、カツオ、ブリ、カキ(殻つき)、スルメイカなど。魚介類にだけ多量のタウリンが含まれるので、意識して食べれば動脈硬化や心筋梗塞の予防になります。

Q 魚の皮は食べてはいけないといいますが?

A そんなことはありません。魚を焼く時焦がしてしまうと、発がん物質が発生するので食べない方が良いですが、魚の皮にはビタミンB2が豊富に含まれます。特に背の部分の真ん中から尾にかけての皮に多く含まれます。口の回りがただれたり口内炎ができたりした時はビタミンB2不足。上手に調理して皮まで食べましょう。

Q 農村と漁村では成人病の発生率が違うって本当ですか?

A 本当です。島根医大の行った調査によると、心筋梗塞や脳卒中などの成人病で漁村の発生率が少ないという結果でした。その原因は漁村の人の尿には塩分が多く、体内に余分な塩分が留まらないためです。

Q 昔から「シジミのみそ汁は肝臓にいい」といいますが、本当ですか?

A シジミだけでなくアサリも良いです。特にシジミは消化・吸収がよく肝臓に負担がかかりません。ビタミンB12が多く含まれ、肝臓の働きを促したり、コレステロールを低下させる成分が多く含まれる、などの作用があります。

Q 魚にも肉や大豆に負けない程のタンパク質があるといいますが、どのくらいの含有量ですか?

A 可食部一〇〇g中にカツオは約二六g、マス約二二g、ブリ約二一g、大衆魚のアジアでも約一九g含みます。この他にも二〇g以上の数値を持つ魚が多種あります。たとえば和牛サーロイン、脂身なしの可食部一〇〇g中タンパク質約一八g、豚のもも肉脂身なしで約二二g、トリのささみで約二四g。大豆はゆでたもので一〇〇g中約一六g。魚も肉や大豆に劣らないタンパク質源です。

Q 魚からもカルシウムを摂りたいと思いますが何が一番良いですか?

A 干しエビ二三〇〇ミリグラム、煮干し二二〇〇ミリグラム、マイワシ(丸干し)一四〇〇ミリグラム、ヒジキ(乾燥)一四〇〇ミリグラム(すべて可食部一〇〇g中の含有量・ミリグラム)などが挙げられます。日本人が必要な一日のカルシウムの量は約六〇〇ミリグラムといわれています。近頃話題の骨粗しょう症予防のためにも意識して食べることをお推めします。

Q 調理(加熱)によって本来持つ栄養価は損なわれないのですか?

A 魚介類の加熱処理によるタンパク質の損失は一~二%といわれています。これは水に溶けるタンパク質が少し失われるだけ。魚は煮ても焼いても、生で食べるのとほぼ同じ栄養価が得られます。味覚についても魚は冷めてもそれほど硬くなりません。調理したあと時間をおいても食べることのできる魚は本当に現代家庭の強い味方ですね。

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