食品の期待と危険(セミナーから):生理活性を有するオリゴ糖と健康
現在、特定保健用食品として厚生省の表示許可を受けている食品は一〇八品目。そのうち四三品目、三割以上がオリゴ糖を含む食品となっています。オリゴ糖の評価基準としてはお腹の調子を整えることが第一に挙げられています。オリゴ糖とひとことに言っても、乳果オリゴ糖・フラクトオリゴ糖・大豆オリゴ糖・ガラクトオリゴ糖・キシロオリゴ糖・イソマルトオリゴ糖・ラクチュロースと、いろいろな種類があります。
今回は、私ども(塩水港精糖が『オリゴのおかげ』という商品を出している)で開発しました乳果オリゴ糖について、整腸効果以外の生理機能をご紹介しましょう。
わが国は世界有数の長寿国となり、これに伴って高齢の方に多発している骨粗しょう症が大きな問題となっています。また若い女性のダイエット経験者や子供にも骨折が増えており、カルシウム摂取と骨形成の問題は世代を超えた共通の課題となっています。
乳果オリゴ糖は、人のカルシウム吸収を促進し、骨密度を上げることが期待されています。これはラットおよび成人女性に対した実験で結果が出ています。大腸内のビフィズス菌を増やし、有機酸の生成量を増やすと、大腸粘膜からのカルシウム吸収を促進し、骨強化を促進するのです(資料、乳果オリゴ糖による骨強化効果)。
また一方で、乳果オリゴ糖は慢性肝疾患患者の肝機能改善も認められています。肝コレステロールの増加を抑制するとして、肝硬変の栄養療法の候補として有望であると考えられています。
今後、乳果オリゴ糖のもつ健康への有用性について、さらに突っ込んだ研究が行われることが期待されています。