アメリカンインディアンに学ぶヘルシー生活術:ナバホの生活には長寿のヒントが

2001.03.10 67号 3面

アメリカ南西部のナバホ族と三〇年に渡って交流している写真家の菊池東太氏に、ナバホの人たちの現在の暮らしぶりを聞いた。

ナバホ族は、一四〇〇年頃、カナダ北西部から南下してきた民族。もともとは狩猟民で、南下した時にナバホとアパッチに分かれた。アパッチはそのまま狩猟を続けたのに対し、ナバホはこの地の人たちにトウモロコシの栽培を習い、さらに一七世紀にスペイン人と接触してヒツジを飼うことを覚え遊牧民となった。現在は定住しながらヒツジを飼って生活している。

「一九七二年から二〇回近く、ナバホ族の人たちが暮らす街を訪れ生活をともにしましたが、昔の日本みたいに素朴さを持った人たちです。大家族、何十人という単位で住んでいて」。

客人があると、ヒツジを解体して大宴会をするという。「ヒツジは一頭まるまる全部食べてしまいますね。頭は蒸し焼き。胃袋は血や脂肪、コーンミールを詰め物にして茹でる。レバーは胃の回りの網の目の脂肪で焼いてクルッとくるんで食べる。小腸はそのまま。アバラ肉は骨ごと焼く。モモはシチューにしたり、残ったら日陰干しにして保存する。目玉は一つは家長、もう一つは客人の長に振る舞われることになっています」。

最初に訪れた時は野菜を食べる習慣はなく、それでも彼らにはビタミン・ミネラル欠乏問題は全く感じられなかったという。「多分、彼らの身体にとって理にかなった方法になっているのだと思う」と、菊池氏は分析する。沖縄の豚食、中国・客家の豚・アヒル食、フランスの牛・ヒツジなどなど、世界中で健康数値上、良い結果が出ている肉食文化はみな、内臓まで食べる全体食だ。これで身体に非常に有効な微量元素を吸収している。ナバホ族の人たちのヒツジ食もこのセオリーにかなっている。こうした食生活は寿命にどう影響しているのだろうか。「根本的には、非常に長生きする人たちだと思います。生活の変化の中で、乳幼児の死亡率や事故などが多いのですが、一方で八〇歳、九〇歳でお元気という人がたくさんいる。また、二~三キロ先の道からやってくる車が誰の物か識別できるほど、目がいい。これにもびっくりさせられます」。

高齢者が尊敬される大家族制。ヒツジを追う身体を動かす生活。空気のいい環境。これらもまた、世界中の長寿地域の共通条件といえる。

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