食品経営者フォーラム、村上敬亮氏が講演 挑戦しない日本 系列取引の日本社会

村上敬亮氏

村上敬亮氏

 日本食糧新聞社主催の食品経営者フォーラムが10月29日に開催され、村上敬亮デジタル庁統括官国民向けサービスグループ長が「デジタル庁のめざすもの~加速する行政DX・民間DX~」をテーマに講演し「日本は挑戦しなくなった。なぜ挑戦しないのか。一言で言えば、系列取引だと考える。どの産業分野をとってもホールセラーがいる日本社会は珍しい」と語った。

 村上氏は、労働生産性の伸び率が2000年以降、実質ほぼ伸び止まりしていることに触れ、日本企業の営業利益に対する設備投資や研究開発費の比率が着実に低下し、利益を投資に回さない国になっていると指摘。その原因の一端は自動車、家電、農協などの系列取引にあるとした。

 人口増加局面では安定的に需要調整や在庫管理ができていた系列取引においても、人口減少局面ではリスクが高まり、系列でのサプライチェーンが厳しくなってきたとした上で「これからは、いろいろ組む相手を変え、組み合わせてみようという時代になる。その際につながるデジタルはないのかという話になる」と強調。

 村上氏は、コロナをきっかけに急激に変化し多様化した顧客の要望が、企業経営が一つのサプライチェーンにぶら下がっているだけの時代から、さまざまな取引先との組み合わせの中で経営する時代に変化を進め、その変化の中でデータ連携基盤の整備が進み、受発注システムのデジタル化が進んでおり、デジタル庁でもこの分野に取り組んでいくとし、今年はデータ連携基盤元年になりそうだと述べた。(阿久津裕史)

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