進化する中華まん 個包装を強化、脱・季節商品へ
中華まんが進化している。コロナ禍の影響で、CVSのカウンター販売が苦戦する一方、在宅時間の増加で、調理時間が短く1食完結型の価値が評価され、朝食、昼食、夕食時のニーズが増加。さらに、リモートワーク時の手を汚さずに食べられる軽食という新たなニーズも生まれた。こうした背景を受け、ストック可能な冷凍やチルドの中華まんの需要が活発化した。メーカー各社も、そのまま電子レンジで加熱できる個包装の取組みを強化する。また、秋冬に食べるイメージが強い中華まんをピザのように、季節を問わず食べる食事・軽食として生活者に認知してもらうため、冷凍中華まんの通年販売を強化する動きも出始めた。さらに、CVSでは中華まんのデリバリーサービスを開始するなど、ウィズコロナ時代の中華まん販売も進化。原材料の高騰を受け、中身の具材の改良やボリュームアップを伴う、価格改定を一部メーカーが実施した。=関連記事7面(青柳英明)
中華まん市場が、需要期を迎えた。中華まんは、気温に売上げを左右されやすい。2021年は、8月のお盆過ぎから低温が9月まで続いたことから、好調な滑り出しとなったが、10月1日の大型台風の接近とその後の10月11日までの高温が影響し、足踏み状態となった。12日以降、東日本を中心に平年並みの気温に戻ったことから売上げの再加速に期待がかかる。
今年の中華まん市場は20年以降のコロナ禍の影響で、CVS店頭での加温機を使った販売を積極的に展開しづらい状況に改善の兆しが見え始めるなど市場回復の明るい道筋が見え始めた。さらにウィズコロナ時代の新たな取組みとして、ローソンが9月1日から東京都、千葉県、宮城県内のローソン約60店舗で初のデリバリーサービス(Uber Eats)で中華まんのデリバリーサービスを開始。9月8日からは、全国のデリバリーサービス導入店舗で、自宅調理向けに袋入り冷凍具材の販売も開始。
脱・季節商品への動きも始まった。井村屋は冷凍の「4コ入り肉まん」と「ゴールド肉まん」の通年販売を一部量販店で実施し、春夏の中華まん開拓に成功した。
在宅時間増で中華まんの食事・軽食としての価値が再評価されたことを受け、メーカー各社はさらなる利便性向上に注力。中村屋は巣ごもり需要やニューノーマルな働き方から、家事が軽減でき、毎日の食事やちょっとおなかがすいた時の救世主として日々の暮らしのワンシーンに簡単・便利に取り入れられるよう、個包装のまま電子レンジで温められる中華まんを開発。詰め合わせにし、常温と冷凍で8月1日に発売。山崎製パンはチルド売場での個包装1個売りの中華まん販売に注力し、自社業態のデイリーヤマザキ、Yショップなどで展開。自宅の電子レンジで加熱することに加え、店舗カウンターでのレンジアップにも積極的に対応する。