SM食材活用し薬膳を 病気になりにくい体作りに 本草薬膳学院・辰巳洋学院長

総合 インタビュー 2020.05.25 12055号 04面
小松菜ごはん

小松菜ごはん

辰巳洋本草薬膳学院学院長

辰巳洋本草薬膳学院学院長

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策による外出自粛が続く中、外食が減り、食品スーパーマーケット(SM)などで買い物をする機会が多くなった。COVID-19を乗り越えていくためには、普段の食事にも目を配り健康を維持していかなくてはならない。そこで注目されているのが薬膳だ。中国の伝統医学である「中医学」の理論に基づく薬膳は、SMなどで手軽に入手できる食材を活用して作ることができる。日本で薬膳の普及活動を行っている本草薬膳学院学院長の辰巳洋氏にCOVID-19対策につながる薬膳レシピなどについて聞いた。(藤村顕太朗)

中国・武漢で活躍した中医の医療チームは、自分たちでも中薬(漢方薬)などを服用して感染予防に努めた。薬膳も予防として使われ、治療現場に入る前に黄耆、西洋人参、陳皮で作った薬膳茶が飲まれていたという。このうち、黄耆と麦門冬は日本では食薬区分の関係上使えないので、黄耆の代わりに高麗人参、麦門冬の代わりに百合根、玉竹、沙参を使うことができる。

日常の食生活に薬膳を取り入れることは、偏った体質を改善し、免疫力を高め、体の不調を整えて、病気になりにくい体を作ることに有効だ。中医の視点では、COVID-19を引き起こす邪気は「湿毒邪気」と「寒湿毒邪」と考え、肺と脾を傷つける。病状の進行によって心、肝、腎、大腸にも及ぼし、それぞれの臓器に損傷を与える。そこで、食材を選ぶ時にはまず、五臓六腑を守るため、簡単に邪気の侵入を許さないように、補う食材を選択。それから気と血の巡りを促す体を温める食材と、老廃物が体にたまらないように排便をよくする食材を選ぶことだ。

薬膳レシピの一例として、ここでは「小松菜ごはん」を紹介する。

▽材料=コメ1.5カップ、もち米0.5カップ、小松菜3株、椎茸3枚、しめじ茸2分の1パック、ニンジン50g、干し貝柱1個、ショウガ3g、醤油、塩、サラダ油。

▽作り方=(1)コメはといでおく。干し貝柱は水に浸けて戻しておく。椎茸・しめじ茸は石付を取り、椎茸を千切り、しめじ茸はほぐしておく。ニンジンの皮を剥き、はさいの目に切る。ショウガと小松菜はみじん切りに切り、小松菜は塩でもんでおく(2)炊飯器にショウガと小松菜以外の材料、干し貝柱の戻し汁、醤油大さじ1を全部入れて、水を加減して、ご飯を炊く(3)鍋を熱くし、サラダ油、ショウガを入れて、絞った小松菜を炒める(4)出来上がったご飯に(3)を入れて混ぜる。

〈レシピ解説〉コメは脾胃肺を温めて補益する。もち米は平性のコメより温性の性質で温める力が強いので、合わせて使う。気を補益する椎茸としめじ茸はコメの補う働きを助け、強くさせる。血を養うニンジンは肺の呼吸機能を助け、咳き止めの働きもあり、脾の消化機能を高める。小松菜と干し貝柱で体を滋養しながら、小松菜は肺の呼吸機能を助け、咳き止めや潤腸通便に生かせる。ショウガは体を温めて気のめぐりを促進する。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら