新型コロナ:水産練り製品、市場活況続く 「良質タンパク」が追い風
新型コロナウイルスの影響で外出自粛が長期化する中、スーパーでは冷凍食品やレトルト食品とともに水産練り製品の需要も高水準で推移している。春以降の低温傾向が続く中、3月はレトルトおでんセットが大きく伸びたほか、ちくわ・かに風味かまぼこ(かにかま)・揚げ物・はんぺんも売れ行き好調。メディアでも高タンパク・低脂肪の練り製品を取り上げる機会が増え、消費者認知も高い。市場の活況は続きそうだ。(本宮康博)
市場は長期漸減傾向が続いてきた水産練り製品だが、かにかまブームに沸いた昨年から縮小に歯止めがかかり、拡大基調に転じている。新型コロナウイルスの影響では、「免疫力の強化に良質なタンパク質の摂取が効果的」との各種レポートも、消費拡大に追い風となっているもようだ。
全国展開する主要各社によると、3月単月では下旬から多くのカテゴリーで売上げが伸び、前年同月比3~10%増となった。さらに4月の緊急事態宣言以降、需要増に拍車がかかっている。特におでんセットは約1.5倍と春先では異例の売上げとなるメーカーも。昨年11月にはブームが一巡したかにかまも、ここにきて再び消費が上向いている。
生産能力を超える需要も一部で発生している。工場のフル稼働が続く各社だが、日本水産は売れ筋商品に生産を絞り込むなど、安定供給に向け対策を講じている。各地で外食などの休業が本格化する中、さらなる需要増を織り込み、配荷調整や生産集約を検討中のメーカーもある。こうした中、国や自治体に対しては「マスクや消毒液などの衛生用品は食品生産・取扱企業にも必需品。安定供給に向けて国内外と調整してほしい」との要望も上がっている。