#元気いただきますプロジェクトNEWS:ポケットマルシェ 「共助」社会の実現へ

特集 機械・資材 2020.11.16 12147号 14面
「REIWA47キャラバン」で全国の生産者を訪問する高橋博之CEO(左)

「REIWA47キャラバン」で全国の生産者を訪問する高橋博之CEO(左)

スマホから簡単に注文ができる

スマホから簡単に注文ができる

 ◇インターネット販売推進事業=ポケットマルシェ

 ●産直SNS機能が強み

 ポケットマルシェの高橋博之CEOは、2013年にNPO法人東北開墾を設立し、食べ物付き情報誌「東北食べる通信」を創刊。その後、株式会社ポケットマルシェを設立し、16年にCtoC(個人間取引)プラットフォームのサービスを開始。生産者と消費者の個と個をつなぎ、互いを思いやれる「共助」の社会の実現を目指している。現在、3500もの生産者が登録し、ユーザーは23万人。コロナ禍で、いずれの登録者も急増している。

 ポケットマルシェ(ポケマル)は、生産者と消費者が双方向でコミュニケーションができるメッセンジャーとコミュニティー機能が特徴だ。その特徴から産直SNSともいわれている。生産者の登録には簡単な審査が必要だ。その条件は、プロの生産者、漁獲者であり、それが証明できること。兼業でも可だ。

 主力商品は、旬の国産果物だ。しかし、コロナ禍により魚介類の注文が急増した。特に増えたのは養殖のマダイ、ホタテなど売り先が消失した外食向け食材だ。

 3月初旬、ポケマルでは「#新型コロナで困っています」の検索タグ機能を設定した。生産者は「なぜ困っているのか」「どんなことに困っているのか」などを書き込んだ。それを閲覧した消費者が、生産者を応援したいという思いで注文した。もちろん魚をさばいた経験のある消費者ばかりではない。YouTubeで自ら調べる、またはメッセンジャー機能で、生産者からじかにさばき方を教わるなどして挑戦した人も多かった。

 消費者による生産者応援だけではない。生産者による消費者応援も生まれた。「#新型コロナを吹き飛ばせ」では、巣ごもり生活の消費者に、家庭で楽しめるナメコ栽培キット、味噌づくりキットなどを生産者が販売するなど、生産者と消費者という関係を超えて「顔が見える関係」が強くなっていった。

 こんなエピソードもある。あるトマト農家にリピーターから荷物が送られてきた。荷を開けると中にはマスクが入っていた。そして「このマスクをつけて農作業を頑張ってください」とメッセージが添えられていた。マスク不足時のことだ。

 高橋博之CEOは、「顔が見える関係は、困っている時ほど強い。自然災害が毎年のように起きる時代、困難を乗り切る関係性の力は大切だ。かつて地域社会にはこういった関係が当たり前にあった。現在、経済活動は介在するが、おいしい国産食材は体だけでなく心も幸せにしてくれる」と笑顔で語った。(金原基道)

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