世界の大豆生産は下方修正 シカゴ下落傾向も米国の作付増加 国産落札価格も安め
全国豆腐連合会(全豆連)が12日に発表した大豆近況によれば、世界の大豆生産予想は、下方修正となった。南米の下方修正を受けたもの。シカゴ相場は新型コロナウイルス感染拡大の影響で下落傾向となっている。米国産大豆の作付面積は前年比10%増と大幅な増加が見込まれる。4月の国産大豆落札価格も前月比で全体的に安かった。
米国農務省が4月9日に発表した2019/2020年度の米国大豆需給予想によれば、生産高は9684万tに据え置かれた。需要面では搾油量が増加したものの、輸出量が減少したことで、期末在庫は1307万t(在庫率12.0%)に上方修正されている。
世界の大豆生産予想は、ブラジルとアルゼンチンの下方修正を受けて前回比1.1%減の3億3808万tに下方修正されている。
同省が3月31日に発表した、2020年産農産物の作付け意向調査によれば、大豆の作付け意向面積は前年比10%増の8351万エーカーとなっている。前年産が作付け時期に長雨に見舞われた反動と考えられ、大幅な増加見込みとなる。
アメリ力大豆輸出協会が4月15、16日に開催したデジタルコンファレンスでは、2020年産大豆の播種期の土壌水分はおおむね良好で順調な播種作業が見込めると発表した。引き続き農作業に適した天候が続くことが期待されている。
4月のシカゴ相場は、期近5月限が8.85ドル/ブッシェル付近から始まった。ブラジルレアル安、中国の米国産大豆の買い付け状況が低調なこと、農務省の需給予想が弱気な内容になるとの思惑で失望売りが入り、一気に8.63ドル/ブッシェルまで下落した。
その後、ブラジルとアルゼンチンの減産予想を受け、一時的に買い戻されたが、米国では新型コロナウイルスの影響から食肉加工工場が相次ぎ閉鎖し、家畜需要の低迷懸念と家畜飼料としての大豆かす需要の減少も懸念され、再度、下落傾向となった。
南米の通貨安を背景とした輸出攻勢を受け、米国産大豆の需要低迷が長期化するとの見方から、4月30日現在、期近5月限は8.31ドル/ブッシェル付近まで下落して推移している。
19(令和元)年産国産大豆の第5回入札取引が4月15日に実施され、約5814tの上場に対し、5300tが落札された。落札率は91%。九州・西日本・東海の「フクユタカ」の価格は前月よりも下落しているが、秋田、山形、茨城、新潟の豆腐用銘柄の価格は上昇傾向で、平均落札価格は前月と同水準となっている。
北海道産「とよまさり」銘柄については、若干の不落が見受けられるものの、約90%の落札率を維持し、落札価格はほぼ前月並みとなっている。
北海道産納豆用銘柄は、落札価格は前月よりも下落したものの、落札率は約95%と回復している。免疫力改善を意識した納豆の堅調な消費によるものと見られる。
新型コロナウイルスの影響で、スーパーの下段商品の販売は伸長している。一方、外食産業の低迷や休校による学校給食の休止など、一部流通向けの大豆消費が大幅に減少している。先行き不透明な中、将来の在庫確保には慎重な判断が求められそうだ。
平均落札価格は、普通大豆=1万0691円(60kg、前月比22円安)、特定加工用=1万0523円(同、前月比38円安)で、全体の平均価格は1万0645円(同、前月比26円安)だった。(小島麻由美)