キリンビール、“糖質ゼロ”ビール投入 秋冬家庭用の台風の目に

酒類 ニュース 2020.08.31 12107号 01面
東京都内で27日会見した布施孝之社長(左)と山形光晴常務執行役員マーケティング部長

東京都内で27日会見した布施孝之社長(左)と山形光晴常務執行役員マーケティング部長

 今秋、段階的な増減税がスタートするビール類市場。キリンビールが投入する日本初の糖質ゼロビール「一番搾り 糖質ゼロ」が台風の目となりそうだ。新型コロナウイルスの感染拡大で高まる健康ニーズに応えるビールとして、減税が行われる10月に発売する。高単価のビール新商品だけに流通にも歓迎する声が多い。発泡酒や新ジャンルを含む機能系ビール類として小売店頭での販促も熱を帯びそう。増減税で揺れる市場をどこまで活性化できるか注目される。(丸山正和)

 糖質ゼロ・オフ商品は発泡酒や新ジャンルで複数ブランドがあるが、麦芽の使用比率が高いビールでは技術的に極めて困難とされる。特に糖質ゼロは難しく、これまでアサヒビールが16年に発売した「ザ・ドリーム」をはじめとした50%オフにとどまっていた。

 「一番搾り 糖質ゼロ」はキリンビールの布施孝之社長が就任時から開発に着手し、5年をかけて商品化に至った。27日に東京都内で会見した布施社長は「発泡酒や新ジャンルの糖質ゼロと違い、しっかりと麦芽のうまみが感じられる」と味わいを評価した。

 10月1日からのビール減税を追い風に「当社ビールの第2の柱に育てたい」(布施社長)との意気込みで、10月6日の発売以降はTVCMの投下やデジタル販促求を徹底し、12月までの3ヵ月で120万ケース(大瓶換算)の販売を計画する。21年には「一番搾り」の缶アイテム内で3分の1程度まで規模を拡大したい考えだ。

 コロナ禍で在宅勤務が浸透するのに伴い、運動不足が増えたことで健康ニーズが顕在化。ビール類では機能系の発泡酒、新ジャンルの伸びが著しい。機能系でもビールを求める声は多く、ビール好きには待望ともいえる糖質ゼロビール。今年最終盤の家庭用ビール類市場にどういった影響を与えるか。注視が必要だ。

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