胃心伝真=すき焼きの夏

総合 コラム 2024.05.15 12755号 01面

 TVで『異人たちとの夏』(88年)を見た。40代を迎えた主人公が12歳で死に別れた若い両親の幽霊と夏を過ごす。全盛期の浅草・国際劇場の向かいで育った脚本家・山田太一原作で、故郷への思いがあふれる▼片岡鶴太郎演じる父役が快演で、キャッチボールしながら息子の老眼を気遣い「(自分の目ン玉を)くれてやりてェね」と言う江戸弁が耳に心地よい。夜の自販機でビールのロング缶を買うシーンなど、前に見た気がするのになぜか記憶が曖昧▼印象的なのは舞台を「(季節外れだけれど)どうしても雷門のすき焼

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