家庭用パン粉が好調 巣ごもり消費でフライ食卓頻度増に
新型コロナに伴う外出自粛や内食需要で、家庭用パン粉の販売が伸びている。KSP-POSデータによると、4月の販売は前年比23.2%増、5月は同17.0%増と好調が続く。在宅時間の増加で手作りの食生活が見直され、「揚げ物」の食卓登場頻度が増えていると考えられる。コロナ後も巣ごもり消費はしばらく続くことが見込まれ、家庭用パン粉の需要拡大が期待される。=関連記事6~7面(三井伶子)
働く女性の増加や家庭での調理機会の減少などにより、近年のパン粉市場は家庭用の縮小が見られていた。しかし新型コロナの影響による内食需要の増加もあり、3月以降の家庭用パン粉の販売が伸びている。一方、市場の9割を占める業務用は営業自粛の影響などから、外食や冷凍食品向けが大きく落ち込んでいる。
フライ料理は作りたてが一番おいしいとの考えがあるが、ライフスタイルの多様化により家族揃って食事をする機会が減り、家庭で作りたてのフライを食べる人は少ない。しかし新型コロナに伴う外出自粛やテレワークの浸透により、家族で食卓を囲み揚げたてのフライを楽しむ機会が増えていると考えられる。
家庭用パン粉のトップメーカー、フライスターは家庭でのフライ料理の実態について18年にアンケート調査を実施した。「普段揚げ物を作りますか」との質問に、約7割の人が「1ヵ月に1回以上は揚げ物を作っている」と回答。特に半数近くが「2週間に1回以上」は作っており、仕事をする中で料理をする人が多い印象だった。フライ料理に対して「おいしい・好き」といった良いイメージを持っている人が多く、嫌い、苦手という人はいなかった。
アンケートではまた、揚げ物が「太りそう」と思っている人が多いことも分かった。フライ料理は糖質やカロリーが高く太るイメージが強いが、具材の肉や魚はほとんどがタンパク質で、衣はパン粉などの糖質だが全体から見ると少量である。タンパク質が多く油と糖質が少ないフライは、実は「低糖質な食事」といえる。揚げ物は太るという誤ったイメージを払しょくするため、「フライ料理は肥満の原因である糖質が少ないということを伝えていきたい」(同社)としている。