中国産切り干し大根、生産量半減 価格は2割上昇見込み

農産加工 ニュース 2021.03.19 12202号 01面
中国産はここ数年、大根の作付けが減少傾向にあるという(写真は雲南省の生産現場)

中国産はここ数年、大根の作付けが減少傾向にあるという(写真は雲南省の生産現場)

 21年に国内市場へ出回る中国産切り干し大根の生産量は、前年比半減となるもようだ。主要産地である中国・雲南省の天候不順が要因で、価格も2割程度の上昇が予想される。相場上昇に伴う価格改定について、業務用がメーンのメーカーは冷凍・冷蔵の繰り越し在庫を持っており、価格は据え置く向きが強い。一方、市販用を主力とするメーカーは品質重視で在庫を持たないケースが多いことから、相場上昇に伴い価格転嫁する可能性が強まっている。(三井伶子)

 切り干し大根の市場は業務用が7割程度を占めると推測される。そのほとんどを中国産が占め、惣菜を主体に外食、学校給食、冷食向けなどに使用される。市販用は約8割が国産で、昨年は巣ごもり需要でゴールデンウイーク前後の販売が前年比50%増となったメーカーもある。

 市販用は近年、市場が伸びている。以前は30gの中国産が主力だったが、その後国産の50、70gが登場。最近は100gの大容量も出てきている。コロナ禍で消費者の買い物頻度が減少する中、「生の大根より日持ちする切り干し大根が野菜の代用となり、特に大容量が伸びている」(大手食品卸)という。

 生産について中国ではここ数年、天候に恵まれない年が続く。原料の大根は順調に育つものの、天日乾燥させる時期に雨が多く晴天が続かない。

 乾燥作業は早くは12月末から始まり2月前半に終了する。今年は「1月20日ごろまでまったく干せず、乾燥期間が短かった」(切り干し大根メーカー)という。作付面積も年々減少傾向にある。農家が乾燥・選別などの手作業を嫌うことや収入が少ないこともあり、他作物への転換が進んでいるという。

 一方、国産は今年の生産量が若干の増加となったが、ここ4年ほどは不作が続いた。その影響も受け、価格は高値安定で推移している。

購読プランはこちら

非会員の方はこちら

続きを読む

会員の方はこちら

書籍紹介