日本伝統食品研究会、江戸・相撲の食文化テーマに講演 鍋囲むルーツは遊郭

講演でちゃんこ鍋を振る舞う大子錦

講演でちゃんこ鍋を振る舞う大子錦

大学の研究者らで構成する日本伝統食品研究会は20日、東京家政大学で70回目の講演会を開催した。「江戸・東京・相撲の食文化」と題し、江戸庶民の料理番付や鍋料理が発展してきた経緯のほか、現代の相撲部屋で食べられているちゃんこ鍋の調理法まで取り上げた。

元実践女子大学教授の大久保洋子氏は、江戸後期の料理番付をもとに、庶民の食生活を解説した。長屋暮らしでは調理場も限られていたことから、煮豆や漬物をはじめ、今の中食のようにできあいのものを購入する機会は多かったという。「必要があっても主婦にやり切れない部分は、現代と同じように商売になっていた」(大久保氏)

食文化史研究家の飯野亮一氏は、鍋料理の発展段階を三つに分類した。第一段階は煮る調理器具としての鍋で、第二段階は鍋のままで提供される器も兼ねた鍋料理。第三段階は、一つの鍋を複数人で囲むスタイルで、江戸の遊郭から発生したという。遊郭での食体験を自宅に持ち帰り、一般に広がったと説明した。

ちゃんこ鍋の発祥は、明治後期の横綱・常陸山が所属した出羽ノ海部屋(当時)とされている。多くの弟子たちに効率的に食事を提供する方法として広がったという。講演では、高砂部屋のちゃんこ長・大子錦が調理を実演、参加者に振る舞った。

研究会は伝統食の継承をテーマに年2回のペースで講演会を継続している。(宮川耕平)

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